• 2025年6月10日
  • 2025年6月6日

5:ADHDのセルフケア:環境調整、スケジュール管理、ストレス管理のヒント

ADHDの特性による困りごとを軽減し、日常生活や社会生活をよりスムーズにするためには、薬物療法だけでなく、日々の**生活習慣や環境を整えること(セルフケア・環境調整)**が非常に重要です。ご自身に合った工夫を見つけ、取り入れることで、特性と上手に付き合い、より快適な毎日を送ることができます。

まず、**「不注意への対策:環境調整と仕組み化」**についてです。

  • 整理整頓の習慣化: 物を置く場所を決め、使ったら元に戻す習慣をつけましょう。物の紛失を防ぎ、探す時間を減らせます。
  • 視覚的な情報整理: ToDoリスト、カレンダー、メモ、リマインダーアプリなどを活用し、やるべきことや期限を「見える化」しましょう。
  • 集中できる環境作り: 静かで気が散らない場所で作業する、パーテーションや耳栓を活用するなど、集中しやすい環境を整えましょう。
  • ルーティン化: 毎日の決まった行動(朝の準備、寝る前の支度など)をルーティン化することで、忘れ物や準備不足を防ぎやすくなります。
  • 一つのことに集中: マルチタスクは避け、一度に一つのことに集中するよう意識しましょう。

次に、**「多動性・衝動性への対策:行動の工夫」**についてです。

  • 休憩の活用: 長時間じっとしているのが苦手な場合は、定期的に休憩を取り、軽く体を動かす時間を作りましょう。
  • 衝動的な行動の前に一呼吸: 衝動的な発言や行動をしてしまいそうな時は、一度立ち止まって深呼吸したり、数秒間数えたりする習慣をつけましょう。
  • 話を聞く工夫: 相手の話を途中で遮らないよう、意識的にメモを取る、相手の目を見て聞くなどの工夫をしましょう。
  • 衝動買い対策: 買い物の際は事前にリストを作り、必要のないものは買わないように意識しましょう。大きな買い物は、一人で決めずに一度持ち帰って考える時間を取りましょう。

そして、非常に重要なのが**「ストレス管理と心のケア」**です。ADHDの特性によって生じるストレスは、症状を悪化させ、二次障害を引き起こす大きな要因です。

  • 十分な睡眠の確保: 睡眠不足はADHDの特性を悪化させるだけでなく、二次障害を引き起こす原因にもなります。規則正しい睡眠習慣をつけ、質の良い睡眠を確保しましょう。
  • リラックスできる時間を作る: 深呼吸、瞑想、軽い運動、アロマセラピー、好きな音楽を聴くなど、自分に合ったストレス解消法を見つけて、積極的に実践しましょう。
  • 完璧主義を手放す: 全てを完璧にこなそうとせず、7割程度の完成度で良しとするなど、自分に優しく接しましょう。
  • 自己肯定感を高める: できたことや得意なことに目を向け、自分を褒める習慣をつけましょう。失敗しても、それは努力不足ではなく特性によるものだと理解し、改善策を考える視点を持つことが大切です。
  • 相談できる人を見つける: 信頼できる家族や友人、あるいは専門家(医師、カウンセラーなど)に悩みを打ち明けることで、心の負担が軽減されます。

これらのセルフケアは、すぐに劇的な効果が現れるものではありませんが、継続することでADHDの困りごとを軽減し、より自分らしく生きることに繋がります。当院の「サトワタッチケア」と併せて生活習慣を整えることで、心身のバランスが整い、より効果的なADHDの特性との向き合い方が期待できます。諦めずに、できることから始めてみましょう。

銀座レンガ通りクリニック 03-3535-2280 ホームページ