- 2025年6月5日
- 2025年6月2日
4,つらい症状を和らげる!コロナ後遺症の薬物療法と症状別アプローチ
「この倦怠感、いつまで続くの?」「頭のモヤモヤで仕事が手につかない…」。コロナ感染後遺症(Long COVID)の多様な症状は、回復を願うあなたの希望を奪い、大きな苦痛を与えているかもしれません。残念ながら、コロナ後遺症に特化した「特効薬」はまだ確立されていませんが、それぞれの症状に合わせた対症療法や、体全体のバランスを整えるアプローチによって、つらい症状を大きく和らげ、生活の質を取り戻すことは十分に可能です。
治療の基本は「症状への個別対応」
コロナ後遺症の治療は、患者さん一人ひとりの異なる症状に焦点を当て、それらを緩和することを目指します。体内で起きている可能性のある炎症や自律神経の乱れ、血流の問題などにも配慮しながら、症状に応じた薬物療法を組み合わせることが一般的です。
- 倦怠感・疲労感へのアプローチ: 最も多くの患者さんが訴える倦怠感に対しては、単に疲労回復剤を処方するだけでは効果が限定的です。
- 漢方薬: 個人の体質や症状に合わせて、気力や体力を補い、疲労回復を促す漢方薬が効果を発揮することがあります。
- 栄養療法: 適切な栄養素(ビタミンB群、鉄分、タンパク質など)の不足がないかを確認し、必要に応じてサプリメントなどで補うことも検討されます。
- 低用量ナルトレキソン(LDN): 海外では、免疫調整作用があるとされるこの薬が、慢性疲労の改善に試みられることもありますが、国内ではまだ一般的ではありません。
- 呼吸器症状(咳、息切れなど)へのアプローチ:
- 吸入ステロイド薬: 慢性的な咳や気道の過敏性が続く場合に用いられることがあります。
- 気管支拡張薬: 息苦しさがある場合に、呼吸を楽にするために処方されることがあります。
- 鎮咳薬、去痰薬: 症状に応じて、咳止めや痰を出しやすくする薬が使われます。
- ブレインフォグ(認知機能の低下)対策: 明確な治療薬はありませんが、脳の疲労を軽減し、血流を改善するアプローチが試みられます。
- 脳の休息: 無理な知的作業を避け、十分な睡眠と休息をとることが最も重要です。
- 自律神経の調整: 自律神経の乱れがブレインフォグの一因となるため、その調整を目指す治療が間接的に効果をもたらすことがあります。
- 痛み・しびれ・頭痛へのアプローチ:
- 神経障害性疼痛治療薬: 痛みやしびれが神経に起因する場合に、プレガバリンなどが検討されることがあります。
- 一般的な鎮痛剤: 通常の頭痛などに対しては、市販の鎮痛剤が有効な場合もありますが、効果が限定的なこともあります。
- 自律神経失調症様の症状(動悸、めまいなど):
- 自律神経調整薬: 症状に応じて、自律神経のバランスを整える薬が検討されることがあります。
- 抗ヒスタミン薬: 一部の研究では、抗ヒスタミン薬が倦怠感やブレインフォグに効果を示す可能性が示唆されていますが、まだ研究段階です。
専門医との連携が不可欠
コロナ後遺症の薬物療法は、多岐にわたる症状に対して、最適な薬を適切に選択することが重要です。自己判断での服用や中止は避け、必ず専門医の指示に従ってください。複数の症状がある場合は、それぞれの症状に合わせた薬を組み合わせることもあります。
当クリニックでは、患者さんの症状を詳細に評価し、必要に応じて各専門科とも連携しながら、最も効果的で安全な薬物療法をご提案します。薬だけに頼らず、非薬物療法や当院独自の「サトワタッチケア」も組み合わせることで、つらい症状の軽減と早期回復をサポートします。諦めずに、ぜひご相談ください。