- 2025年6月3日
- 2025年6月2日
2,コロナ後遺症はなぜ起きる?発症のメカニズムと体への影響
新型コロナウイルス感染症から回復した後も、なぜか体調が優れない。ひどい倦怠感や「ブレインフォグ」と呼ばれる頭のモヤモヤ感、息切れ…。「どうしてこんな症状が続くのだろう?」と、その原因がわからず不安を感じている方も多いでしょう。**コロナ感染後遺症(Long COVID)**の発症メカニズムは未だ完全に解明されていませんが、最新の研究でいくつかの有力な要因が示唆されています。
複雑に絡み合うコロナ後遺症の発症メカニズム
コロナ後遺症は、単一の原因で起きるのではなく、いくつかの要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
- ウイルス残存と慢性炎症: 新型コロナウイルスが体から完全に排除されず、一部の臓器や細胞に長く残存している可能性が指摘されています。これにより、体がウイルスを排除しようと持続的に免疫反応を起こし、慢性的な炎症が体中で続いている状態が考えられます。この炎症が、全身の倦怠感や痛みを引き起こす一因となるとされています。
- 自己免疫反応: ウイルス感染をきっかけに、免疫システムが暴走し、自分の正常な細胞や組織を攻撃してしまう自己免疫反応が起きている可能性も指摘されています。リウマチなどの自己免疫疾患と似たような症状が出ることがあるのも、このメカ点が関連しているかもしれません。
- 血管内皮障害と微小血栓: 新型コロナウイルスは、血管の内側にある細胞(血管内皮細胞)を傷つけることが知られています。この損傷が全身の血流に影響を与え、特に微細な血管で微小な血栓(血の塊)ができやすくなるという仮説もあります。脳や肺、筋肉など、全身の臓器への酸素や栄養の供給が滞ることで、倦怠感やブレインフォグ、呼吸苦などの症状につながる可能性があります。
- 自律神経系の異常: ウイルス感染が引き金となり、私たちの生命活動をコントロールする自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが大きく乱れることがあります。これにより、動悸、めまい、立ちくらみ、発汗異常、消化器症状、不眠といった多様な症状が現れます。特に、体を起こすと心拍数が異常に上がる**起立性頻脈症候群(POTS)**なども、コロナ後遺症で報告されています。
- 臓器への直接的な影響: 重症化した患者さんだけでなく、軽症だった方でも、肺、心臓、腎臓、脳などの臓器に直接的なダメージが残り、それが長期的な症状につながるケースもあります。
このように、コロナ後遺症は非常に多岐にわたる複雑なメカニズムで引き起こされると考えられています。そのため、治療も単一のアプローチではなく、それぞれの症状や原因に合わせた多角的なアプローチが必要となります。
「なぜこんなに調子が悪いんだろう」と悩むあなたへ。この複雑なメカニズムを少しでも理解することで、ご自身の症状に対する不安が和らぎ、適切な治療法を見つけるための第一歩となるでしょう。当クリニックでは、これらのメカニズムを踏まえ、患者様一人ひとりの症状に合わせたオーダーメイドの治療をご提案しています。