• 2025年12月20日
  • 2025年12月8日

3. なぜお腹が不安定に?過敏性腸症候群(IBS)の意外な原因

「なんで自分だけこんなにお腹の調子が悪いんだろう?」「ストレスでお腹が痛くなるって言うけど、それだけなのかな…」。長引く下痢や便秘、お腹の張りに悩まされ、原因が分からずに不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。**過敏性腸症候群(IBS)**は、そのつらい症状の裏に、いくつかの複雑な原因が絡み合っていると考えられています。これらの原因を知ることは、症状の根本的な改善を目指す上で非常に重要です。

脳と腸の密接な関係:脳腸相関の乱れ

私たちの脳と腸は、**「脳腸相関(のうちょうそうかん)」**と呼ばれるシステムで常に情報交換をしています。脳で感じたストレスや感情は、自律神経やホルモン、神経伝達物質を介して腸に直接伝わります。反対に、腸の不調も脳に伝わり、不安感や抑うつ気分を引き起こすことがあります。

IBSの患者さんでは、この脳腸相関のバランスが乱れていることが指摘されています。

  • ストレスの影響: ストレスを感じると、脳はそれを腸に伝え、腸の動きが過剰になったり、逆に鈍くなったりすることがあります。これが、通勤前の緊張や会議中の不安でお腹が痛くなったり、下痢をしたりする理由です。
  • 自律神経の乱れ: ストレスや不規則な生活は、消化器の働きをコントロールする自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスを崩します。自律神経が優位になると腸の動きが抑制されたり、副交感神経が過剰に働くと腸の動きが活発になりすぎたりして、下痢や便秘につながることがあります。

腸の「敏感さ」:内臓知覚過敏と運動機能異常

IBSの患者さんの腸は、健康な人に比べて非常に敏感であることが分かっています。

  • 内臓知覚過敏: わずかなガスの発生や腸の動きでも、痛みや不快感を強く感じてしまいます。例えば、正常な範囲の腸の動きでも、IBSの人はそれを痛みとして捉えてしまうことがあるのです。
  • 腸の運動機能異常: 腸のぜん動運動(便を送り出す動き)が速すぎたり、遅すぎたり、不規則になったりします。これが、下痢や便秘、混合型の症状を引き起こす直接的な原因となります。

腸内環境の乱れ:腸内フローラとセロトニン

最近の研究では、腸内環境もIBSと深く関わっていることが示唆されています。

  • 腸内フローラの乱れ: 腸内に生息する細菌(腸内フローラ)のバランスが崩れると、異常発酵が起きたり、有害物質が生成されたりして、お腹の不調を引き起こすことがあります。
  • セロトニン代謝異常: 腸は、気分や睡眠にも関わる神経伝達物質「セロトニン」の主要な産生場所です。IBSの患者さんでは、腸でのセロトニンの代謝に異常があることが指摘されており、これが症状に影響を与えていると考えられています。
  • SIBO(シーボ:小腸内細菌増殖症): 小腸内で細菌が異常に増殖することで、お腹の張りやガス、腹痛、下痢などの症状を引き起こすことがあります。IBSと症状が似ており、関連が指摘されています。

このように、過敏性腸症候群の原因は一つだけではなく、脳と腸の連携、腸の機能、そして腸内環境など、複数の要素が複雑に絡み合っています。ご自身の症状や生活背景を詳しく医師に伝えることが、根本原因を特定し、あなたに合った最適な治療へと繋がる大切なステップとなります。当クリニックでは、患者様一人ひとりの状態を丁寧に診察し、症状の根本原因を探るお手伝いをさせていただきます。

銀座レンガ通りクリニック 03-3535-2280 ホームページ