• 2025年12月16日
  • 2025年12月8日

9. 顎関節症Q&A:よくある質問とその答え

「アゴの音がするけど、痛みがないから大丈夫?」「治ったと思ったらまた痛くなってきた…」。顎関節症は、多くの方が抱える疑問や不安が尽きない病気です。ここでは、顎関節症に関してよくある質問とその答えを、専門医の立場から解説します。ご自身の症状と照らし合わせながら、ぜひ参考にしてみてください。

Q1: 顎の音がするだけで痛みがない場合も、治療が必要ですか?

A1: 顎の音がするだけ(クリック音、ミシミシ音など)で、痛みや口の開きにくさがない場合は、必ずしもすぐに治療が必要とは限りません。このような状態を「生理的関節音」と呼び、顎関節の構造上の特徴であることが多いからです。

しかし、音がする原因が関節円板のずれや変形である可能性も否定できません。音が突然変化したり、痛みや開口障害を伴うようになったりした場合は、顎関節症が進行しているサインかもしれません。悪化を防ぐためにも、一度専門医に相談し、顎関節の状態をチェックしてもらうことをお勧めします。

Q2: 顎関節症は自然に治ることがありますか?

A2: 顎関節症の症状は、一時的なストレスや疲労が原因の場合、自然に軽快したり、消失したりすることもあります。特に軽度な症状であれば、安静にしたり、生活習慣を見直したりするだけで改善するケースも少なくありません。

しかし、症状が長引く場合や、痛みが強い、口が開きにくいといった症状がある場合は、放置すると慢性化したり、関節の構造がさらに悪化したりする可能性があります。自己判断せずに、適切な診断と治療を受けることが重要です。

Q3: 歯ぎしりや食いしばりは、どうすれば止められますか?

A3: 歯ぎしりや食いしばりは、無意識のうちに行われるため、完全に止めるのは非常に難しいですが、軽減させる方法はいくつかあります。

  • マウスピース(スプリント)療法: 睡眠中に装着することで、歯や顎関節への負担を軽減し、筋肉の緊張を和らげます。
  • TCH(歯列接触癖)の改善: 日中に無意識に歯を接触させている癖を意識してやめることが、夜間の食いしばりにも良い影響を与えます。
  • ストレス管理: ストレスが歯ぎしりや食いしばりの原因となることが多いため、リラックス法やストレス解消法を実践しましょう。
  • ボツリヌス療法: 過度に緊張した咀嚼筋にボツリヌス毒素を注入し、筋肉の働きを一時的に弱めることで、歯ぎしりや食いしばりの軽減に繋がる場合があります。

Q4: 顎関節症は再発しやすいと聞きましたが、本当ですか?

A4: はい、顎関節症は再発しやすい傾向があると言われています。これは、発症の原因が一つではなく、生活習慣、ストレス、噛み合わせなど、複数の要因が絡み合っているためです。症状が改善しても、原因となる癖や生活習慣を続けていたり、ストレスが溜まったりすると、再び症状が現れる可能性があります。

治療によって症状が落ち着いた後も、自己ケアを継続し、定期的に専門医のチェックを受けることで、再発を予防し、良い状態を長く維持することが可能です。

Q5: 顎関節症は放置するとどうなりますか?

A5: 顎関節症を放置すると、症状が慢性化し、痛みが強くなったり、口が開けにくさが悪化したりすることがあります。また、顎関節の炎症が進行して関節の組織が損傷したり、顎の骨に変形が生じたりする可能性もゼロではありません。

さらに、顎関節症の症状(痛み、開口障害、睡眠不足など)が、頭痛、首や肩こり、耳鳴り、めまいなど、全身の不調へと繋がることがあります。生活の質が著しく低下する前に、早期に適切な対処をすることが重要です。

顎関節症は、適切に診断・治療することで症状をコントロールできる病気です。疑問や不安があれば、遠慮なく専門医に質問し、納得のいく治療を受けていきましょう。

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