- 2025年9月4日
- 2025年8月28日
8. 痙性斜頸、眼瞼痙攣…ジストニアのボツリヌス毒素注射:効果と注意点
「首のねじれがひどいけど、注射で治るって本当?」「ボツリヌス毒素って安全なの?」。ジストニア、特に頸部ジストニア(痙性斜頸)や眼瞼痙攣の治療において、ボツリヌス毒素注射は最も効果的で広く用いられている治療法です。この記事では、ジストニア治療におけるボツリヌス毒素注射の効果、安全性、そして治療を受ける上での注意点について詳しく解説します。
1. ボツリヌス毒素注射とは?
ボツリヌス毒素は、食中毒の原因菌であるボツリヌス菌が産生するタンパク質の一種です。この毒素を医療用に精製し、ごく少量を用いることで、神経から筋肉への信号伝達を一時的にブロックし、筋肉の緊張を和らげる効果があります。
ジストニア治療では、この作用を利用して、過剰に収縮している筋肉に直接ボツリヌス毒素を注射することで、不随意なねじれや動きを抑制します。
2. ジストニア治療における効果と特徴
- 高い効果:
- 特に、頸部ジストニアや眼瞼痙攣など、局所性ジストニアに対して、非常に高い効果が期待できます。
- 多くの患者さんで、症状の軽減、痛みの緩和、QOL(生活の質)の向上が認められています。
- 安全性:
- 全身への影響はほとんどなく、副作用は限定的です。
- 注射部位の一時的な筋肉の脱力、嚥下障害(飲み込みにくさ)、まぶたが下がる(眼瞼下垂)などが起こることがありますが、ほとんどの場合、時間の経過とともに回復します。
- 持続期間:
- 注射の効果は、通常3~4ヶ月持続します。
- 効果が切れると症状が戻るため、定期的な注射が必要です。
- 簡便な治療:
- 外来で手軽に受けることができ、入院の必要はありません。
3. 治療を受ける上での注意点
- 専門医による治療:
- ボツリヌス毒素注射は、症状の原因となっている筋肉を正確に特定し、適切な量と部位に注射する専門的な知識と経験が必要です。
- 神経内科医の中でも、ジストニアの治療経験が豊富な医師に相談しましょう。
- 保険適用:
- ジストニアの治療目的でのボツリヌス毒素注射は、保険適用となっています。
- 治療計画の共有:
- ボツリヌス毒素注射は、ジストニア治療の選択肢の一つであり、すべての患者さんに有効なわけではありません。
- 治療開始前に、効果、持続期間、副作用のリスク、費用などについて、医師と十分に話し合い、納得した上で治療を受けましょう。
- 注射後の注意:
- 注射直後から効果が現れるわけではなく、通常は数日~1週間程度で効果が現れ始めます。
- 注射部位を強く押したり、揉んだりしないようにしましょう。
- 注射後の生活で気になることがあれば、すぐに医師に相談しましょう。
ボツリヌス毒素注射は、ジストニアに悩む多くの患者さんにとって、症状を和らげ、生活の質を向上させるための非常に有効な治療法です。当クリニックでは、ジストニアの専門的な診断と治療、そしてボツリヌス毒素注射に関する詳細なご説明と、患者さん一人ひとりに合わせた治療計画を提案いたします。ジストニアの症状でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。