• 2025年9月3日
  • 2025年8月28日

7. ジストニア患者さんとご家族の心のケア:寄り添い、支え合うためにできること

「大切な家族がジストニアと診断された…」「どう接したらいいかわからない…」。ジストニアは、見た目の不随意運動があるため、患者さんご本人が精神的な苦痛を抱えやすいだけでなく、ご家族も大きな不安や戸惑いを感じます。この記事では、ジストニア患者さんとご家族が抱える心の課題に焦点を当て、互いに支え合い、心の健康を保つためのヒントについて解説します。


1. 患者さんが抱える心の課題

  • 自己肯定感の低下: 自分の意思で体をコントロールできないことに、深い無力感や自己否定感を抱くことがあります。
  • 精神的なストレスと孤立: 不随意運動が原因で人目が気になり、外出や人との交流を避けるようになり、社会的孤立を招きます。これが、うつ病や不安障害の発症に繋がることもあります。
  • 誤解されることへの苦痛: 症状が「緊張」「神経質」「怠け」などと誤解され、周囲に理解されないことへの苦痛は非常に大きいです。
  • 将来への不安: 症状が進行するのではないか、仕事や学業を続けられるだろうか、といった将来への漠然とした不安を抱えています。

2. ご家族が抱える課題

  • 戸惑いと不安: 家族の不随意な動きを目の当たりにし、何が原因なのか、どうなってしまうのか、という戸惑いや不安を感じます。
  • どう接すれば良いかわからない: 「無理しないでね」と声をかけるべきか、「気にしなくていいよ」と伝えるべきかなど、患者さんへの接し方に悩むことがあります。
  • 介護・サポートの負担: 患者さんの症状が重い場合、介護や日常生活のサポートがご家族の負担になることがあります。
  • 周囲の無理解: ジストニアという病気が社会的に知られていないため、周囲からの無理解や偏見にさらされることがあります。

3. 解決に向けたヒント:理解とコミュニケーションが鍵

  1. ジストニアについて正しく知る: 患者さんもご家族も、ジストニアが「意思とは関係なく起こる、脳の病気」であることを正しく理解することが、心の安定の第一歩です。
  2. オープンなコミュニケーション:
    • 患者さんへ: 自分の症状や、それによって感じているつらさを、信頼できるご家族や友人に話してみましょう。
    • ご家族へ: 患者さんの話に耳を傾け、共感する姿勢を見せましょう。「大丈夫だよ」「気にしないで」と安易に言うのではなく、「つらいね」「何か手伝えることはある?」と寄り添うことが大切です。
  3. サポートを求める勇気:
    • 医療者との連携: 医師や看護師に、症状だけでなく、精神的な苦痛や社会生活上の課題についても相談しましょう。
    • 心理カウンセリング: 心理専門家によるカウンセリングは、患者さんの心の状態を整理し、対処法を見つけるのに役立ちます。
    • 患者会・家族会の活用: 同じ病気を持つ人々との交流は、孤独感を和らげ、有益な情報を得る場となります。
  4. 「できること」に焦点を当てる:
    • 症状のために「できないこと」に意識が向きがちですが、患者さん自身が「できること」に目を向け、それを大切にすることが自己肯定感を高めます。
    • ご家族は、「〜ができなくなったね」ではなく、「〜はできるから一緒にやろう」と前向きな声かけを心がけましょう。
  5. ご家族自身のケアも大切に: 患者さんを支えるご家族も、大きなストレスを抱えています。ご自身の休息を大切にし、趣味や好きなことに時間を使ったり、信頼できる人に話を聞いてもらったりして、心身の健康を保ちましょう。

ジストニアは、身体的、精神的、社会的な側面から包括的なサポートが必要です。当クリニックでは、患者さんとご家族の心の健康を支え、多角的な視点からサポートを提供いたします。一人で悩まず、ぜひ一度ご相談ください。

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