- 2025年9月1日
- 2025年8月28日
5. ジストニアと上手に付き合う:日常生活のヒントとQOL向上のためのセルフケア
「ジストニアは治りにくいと聞いたけど、どうすればより良い生活を送れるの?」「日常生活でできることはある?」。ジストニアは、その症状が患者さんの日常生活に大きな影響を及ぼし、QOL(生活の質)を低下させます。しかし、適切な治療に加え、日々の生活でちょっとした工夫やセルフケアを取り入れることで、症状をコントロールし、より快適な生活を送ることは十分に可能です。この記事では、ジストニアの患者さんが実践できる具体的なヒントをご紹介します。
1. 症状緩和のためのヒント
- 感覚トリックの活用:
- ジストニアの患者さんは、特定の部位に軽く触れることで、一時的に症状が和らぐことがあります。これを「感覚トリック」と呼びます。
- 例:頸部ジストニアの患者さんが、あごや頬、首の後ろなどに指を軽く触れる。
- 症状が出た時に、ご自身に有効な感覚トリックを見つけ、活用してみましょう。
- リラックス法の実践:
- ストレスや緊張は、ジストニアの症状を悪化させることがあります。
- 深呼吸: 症状が出そうになったら、一度立ち止まり、深くゆっくりと呼吸をすることで、心身の緊張を和らげることができます。
- 瞑想やヨガ: 症状の悪化を防ぐだけでなく、精神的な安定にも繋がります。
- 趣味や好きなこと: 趣味に没頭する時間は、症状から意識をそらし、心をリフレッシュするのに役立ちます。
- 適度な運動と休息:
- 適度な運動は、全身の筋肉の緊張を和らげ、心身のバランスを整えます。ウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で体を動かしましょう。
- 症状がひどい時は無理せず、十分な休息をとりましょう。
2. 日常生活における工夫
- 書痙(しょけい)の患者さんへ:
- 字を書くことを必要最低限にする。
- パソコンやスマートフォンのタイピングを積極的に活用する。
- 太めのペンや、重り付きのペンなど、症状が出にくい筆記具を探してみる。
- 頸部ジストニアの患者さんへ:
- 症状がひどい時は、無理に人前で話すことを避け、筆談やメッセージアプリなどを活用する。
- 運転は症状が安定している時のみにするか、控える。
- 首をサポートする枕や、座席の位置を調整して、首への負担を減らす。
- 眼瞼痙攣の患者さんへ:
- 目を開けていることがつらい時は、サングラスや帽子を着用して、光や風の刺激を避ける。
- 読書やテレビ鑑賞など、目を酷使する活動は適度に休憩を挟む。
- ドライアイがある場合は、目薬をさして目を潤す。
3. 精神的なケアの重要性
ジストニアは、見た目の不随意運動が原因で、患者さんは自己肯定感の低下や、うつ状態、不安障害を抱えがちです。
- 一人で抱え込まない:
- 信頼できる家族や友人、医療者に、自分の症状や気持ちを話しましょう。
- 心理カウンセリングを受けることも有効です。
- 患者会や支援団体の活用:
- 同じ病気を持つ人々と交流することで、共感し合える仲間に出会い、孤独感を和らげることができます。
- 患者会や支援団体は、有益な情報交換の場でもあります。
- 「できること」に焦点を当てる:
- 「できないこと」に意識が向きがちですが、「できること」に目を向け、小さな成功体験を積み重ねることが大切です。
ジストニアと診断されても、絶望する必要はありません。適切な治療と、日々の生活での工夫によって、症状をコントロールし、自分らしい人生を送ることは十分に可能です。当クリニックでは、患者さんがジストニアと上手に付き合い、より良い生活を送れるよう、きめ細やかなサポートを提供いたします。