- 2025年8月31日
- 2025年8月28日
4. ジストニアの種類別症状と治療:頸部、眼瞼、書痙…それぞれの特徴と対処法
「首が勝手に傾くのはジストニア?」「まぶたがピクピクするのもジストニアなの?」。ジストニアは、その症状が現れる部位によって、様々なタイプに分けられます。それぞれのタイプで、患者さんが抱える悩みや、有効な治療法が異なります。この記事では、ジストニアの中でも特に頻度の高い3つのタイプに焦点を当て、その特徴と、それぞれのタイプに合わせた治療法、そして患者さんができる対処法について解説します。
1. 頸部ジストニア(痙性斜頸)
- 症状:
- 首の筋肉が不随意に収縮し、頭部が左右にねじれたり(回旋)、前後に傾いたり、前後に引っ張られたりする。
- 肩の筋肉にも症状が及ぶことがある。
- 首や肩に痛みを感じることが多い。
- 患者さんが抱える悩み:
- 外見が不自然に見えることへの精神的苦痛。
- じっとしていても症状が出るため、人前で話すことや、外出が億劫になる。
- 痛みによる日常生活への支障。
- 主な治療法:
- ボツリヌス毒素注射: 最も効果的な治療法です。過剰に収縮している筋肉を特定し、注射することで、症状を和らげます。
- 薬物療法: 抗コリン薬などが補助的に用いられることがあります。
- 患者さんができること:
- 感覚トリック(geste antagoniste): 頭部や顔、首に軽く触れることで、一時的に症状が和らぐことがあります。
- ストレス管理: ストレスは症状を悪化させます。リラックス法や適度な運動を取り入れましょう。
2. 眼瞼痙攣(がんけんけいれん)
- 症状:
- 両側のまぶたの筋肉が不随意に収縮し、目が開けられなくなったり、頻繁に瞬きを繰り返したりする。
- 症状が重い場合、機能的な失明状態になることがある。
- 患者さんが抱える悩み:
- 運転や読書など、目を使う作業が困難になる。
- 目を開けたいのに開けられないため、精神的なストレスが大きい。
- 症状が原因で外出を控えるようになる。
- 主な治療法:
- ボツリヌス毒素注射: 眼瞼の周りの筋肉に注射することで、まぶたの不随意な動きを抑えます。非常に高い効果が期待でき、第一選択肢となります。
- 薬物療法: 補助的に抗不安薬などが用いられることがあります。
- 患者さんができること:
- 感覚トリック: 眼鏡をかける、まぶたに触れる、歌を歌うなど、症状が和らぐ動作を見つけましょう。
- 目を休める: 目の使いすぎは症状を悪化させることがあります。定期的に目を休ませる時間を設けましょう。
3. 書痙(しょけい)
- 症状:
- 字を書こうとする時だけ、手や腕の筋肉が不随意に収縮し、手が震えたり、腕が不自然に曲がったりして、字がうまく書けなくなる。
- 患者さんが抱える悩み:
- 仕事や学業で字を書くことが必要な場合、大きな支障をきたす。
- 症状が「緊張」や「怠け」と誤解されることがある。
- 主な治療法:
- ボツリヌス毒素注射: 症状の原因となっている手の筋肉に注射することで、症状を和らげます。
- 薬物療法: 抗コリン薬などが検討されることがあります。
- リハビリテーション: 動作を再学習するためのリハビリテーションも有効な場合があります。
- 患者さんができること:
- ペンの持ち方を工夫する: 症状が出にくいペンの持ち方や、太いペンを使う、ペンに重りをつけるなどの工夫をしてみましょう。
- タイピングの活用: 書くことが困難な場合は、パソコンやスマートフォンでのタイピングを積極的に活用しましょう。
ジストニアは、一人ひとりの症状が異なるため、個別的な治療計画を立てることが重要です。当クリニックでは、患者さんの症状を詳細に評価し、最適な治療法を提案いたします。また、各タイプに合わせた日常生活の工夫や心のケアについても、きめ細やかなサポートを提供しております。