• 2025年8月30日
  • 2025年8月28日

3. ジストニアの発症を誘発する要因

ジストニアは、単一の原因で発症するわけではありません。以下のような複数の要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

  • 遺伝的要因: ジストニア患者さんの約10%は、遺伝的要因が関わるとされています。特定の遺伝子変異が、脳の神経伝達物質の機能異常を引き起こし、ジストニアを発症させます。
  • 脳の器質的障害: 脳卒中、頭部外傷、脳炎、脳腫瘍、酸素欠乏など、脳に物理的な損傷が生じた後にジストニアが発症することがあります。
  • 薬剤の副作用: ジスキネジアと同様に、抗精神病薬や特定の吐き気止めなどを長期にわたって服用することで、ジストニアが発症することがあります。
  • 心理的ストレス: 強いストレスや緊張は、症状を悪化させるだけでなく、発症の引き金となることもあります。
  • 反復動作: ピアニストの指、書家の手、ゴルファーの手首など、特定の反復動作を長期間行った後にジストニアが発症することがあります。これは、タスク特異性ジストニアの典型例です。

治療と予防のために知っておくべきこと

ジストニアは、その根本原因が脳の機能異常にあるため、早期の診断と治療が不可欠です。

  • 専門医への相談: 不随意な動きや姿勢に気づいたら、まずは神経内科を受診しましょう。正確な診断を受けることが、適切な治療への第一歩です。
  • ストレスの管理: ストレスは症状を悪化させます。リラックス法や趣味、運動などで、日々のストレスを上手に管理することが重要です。
  • 反復動作の休憩: タスク特異性ジストニアのリスクを減らすため、特定の反復動作を行う際は、こまめに休憩を挟むようにしましょう。

ジストニアは、目に見える症状があるため、患者さんは精神的な苦痛を伴います。当クリニックでは、ジストニアの脳内メカニズムを理解した上で、心身両面からのサポートを提供し、患者さんがより良い生活を送れるようお手伝いいたします。


ジストニアの診断と治療:正確な評価と治療の3本柱

「首のねじれが止まらないけど、病院ではどうやって診断するの?」「ジストニアってどんな治療があるの?」。ジストニアは、その症状が多様であるため、正確な診断には専門医による丁寧な評価が不可欠です。また、治療も、患者さんの症状や原因、生活背景に合わせて、複数の方法が組み合わされます。この記事では、ジストニアの診断プロセスと、現在行われている主な治療の3本柱について詳しく解説します。


1. ジストニアの診断プロセス

ジストニアの診断は、主に問診と観察、そして他の病気との鑑別によって行われます。

  1. 詳細な問診:
    • 症状の様式: どのような不随意な動きや姿勢が、体のどの部位に、どのような頻度で現れるか。
    • 症状発現のきっかけ: 特定の動作を行った時、緊張した時、疲れた時など、どのような時に症状が出るか。
    • 病歴と薬剤の服用歴: 過去の病歴(脳卒中、頭部外傷など)や、服用中の薬剤(特に抗精神病薬など)の情報を確認します。
    • 家族歴: 家族に同様の症状を持つ人がいるか。
  2. 身体診察と観察:
    • 医師は、患者さんの不随意運動や不自然な姿勢を実際に観察し、症状の特徴を評価します。
    • 特定の動作を依頼し、その際の症状の変化を詳細に観察することもあります(例:字を書いてもらう、歩いてもらうなど)。
  3. 他の疾患との鑑別:
    • ジストニアと似た症状を引き起こす他の病気(パーキンソン病、チック症、心因性ジストニアなど)を除外するために、必要に応じて頭部MRIなどの画像検査や遺伝子検査が行われることもあります。

診断のポイント: 診断は、これらの情報を総合的に判断して行われます。特に、症状が特定の動作で出現したり、特定の「感覚トリック」(例:首のジストニアで、あごに指を触れると症状が和らぐなど)が見られる場合は、ジストニアの可能性が高いと判断されます。


2. ジストニア治療の3本柱

ジストニアの治療は、症状を和らげ、患者さんのQOL(生活の質)を向上させることを目的とします。

第1の柱:薬物療法

  • 抗コリン薬: 脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンの働きを抑え、ドパミンとのバランスを調整します。全身性ジストニアや小児のジストニアに有効な場合があります。
  • ドパミン作動薬: ジストニア・プラスの一部のタイプに有効な場合があります。
  • 抗てんかん薬、抗不安薬、筋弛緩薬: 症状の程度に応じて、補助的に用いられることがあります。

第2の柱:ボツリヌス毒素注射

  • 作用機序: ジストニアの原因となっている過剰に収縮している筋肉に、ボツリヌス毒素を直接注射します。ボツリヌス毒素は、神経から筋肉への信号伝達をブロックし、筋肉の収縮を抑えることで、ねじれや不随意な動きを和らげます。
  • 特徴:
    • 局所性ジストニア(頸部ジストニア、眼瞼痙攣など)の治療に最も広く用いられ、高い効果が期待できます。
    • 注射の効果は、通常3~4ヶ月持続するため、定期的な注射が必要です。
  • 注意点:
    • 注射部位の選び方や、適切な用量設定には専門的な知識と経験が必要です。

第3の柱:外科的治療(脳深部刺激療法:DBS)

  • 適用: 薬物療法やボツリヌス毒素注射で効果が見られない、重度の全身性ジストニアや分節性ジストニアの患者さんに検討されます。
  • 作用機序: 脳内の特定の部位(大脳基底核など)に電極を埋め込み、微弱な電気刺激を与えることで、異常な神経活動を正常化させ、不随意運動を抑えます。
  • 特徴:
    • 長期的な効果が期待できます。
    • 手術にはリスクが伴うため、慎重な検討が必要です。

ジストニアの治療は、これらの治療法を単独で行うこともあれば、組み合わせて行うこともあります。また、リハビリテーションや心理的サポートも、QOL向上には欠かせません。

当クリニックでは、ジストニアの専門的な診断と治療、そして患者さんの心に寄り添うトータルサポートを提供しております。ジストニアの症状でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

銀座レンガ通りクリニック 03-3535-2280 ホームページ