• 2025年8月12日
  • 2025年8月8日

5,諦めないで!線維筋痛症の薬物療法と症状を和らげる薬剤

全身の痛みに加え、慢性疲労や不眠に苦しむ線維筋痛症は、「治らない」と諦めてしまう方も少なくありません。しかし、適切な薬物療法と非薬物療法を組み合わせることで、症状を大幅にコントロールし、生活の質を向上させることは十分に可能です。ここでは、線維筋痛症の治療に用いられる主な薬物療法について詳しく解説します。


治療の目標は「痛みのコントロール」と「生活の質の改善」

線維筋痛症の薬物療法の主な目標は、痛みの強度を軽減し、それによって引き起こされる不眠や疲労などの付随症状を和らげることです。完全に痛みをゼロにすることは難しい場合もありますが、日常生活に支障がないレベルまで痛みをコントロールし、患者さんの**QOL(生活の質)**を高めることを目指します。


線維筋痛症の主な薬物療法

線維筋痛症の痛みは、一般的な鎮痛剤では効果が出にくいことが多いのが特徴です。そのため、脳の痛みの伝達経路に作用する、特殊な薬剤が用いられます。

  1. 神経障害性疼痛治療薬(プレガバリン、ミロガバリン):
    • **プレガバリン(商品名:リリカ®)**は、線維筋痛症で日本で初めて保険適用となった薬剤です。神経の興奮を抑えることで痛みを和らげ、睡眠改善効果も期待できます。
    • **ミロガバリン(商品名:タリージェ®)**も、プレガバリンと同様の作用機序を持つ新しい薬剤です。 これらの薬は、痛みだけでなく、しびれや睡眠障害にも効果を発揮することがあります。
  2. SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬):
    • **デュロキセチン(商品名:サインバルタ®)**は、脳内のセロトニンとノルアドレナリンという神経伝達物質の量を増やすことで、痛みを抑える働きがあります。これらの物質は、痛みの抑制系に関わっているため、線維筋痛症の痛みに有効とされています。うつ病や不安障害を併発している場合にも効果が期待できます。
  3. その他の薬剤: 上記以外にも、患者さんの症状や状態に応じて、以下のような薬剤が補助的に用いられることがあります。
    • 三環系抗うつ薬: アミトリプチリンなど、少量で鎮痛効果や睡眠改善効果が期待できる場合があります。
    • 筋弛緩薬: 筋肉の緊張による痛みが強い場合に処方されることがあります。
    • 少量の睡眠導入剤: 不眠が深刻な場合に、一時的に用いられることがあります。
    • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs): 一般的な痛み止めですが、線維筋痛症の痛みには効果が限定的であることが多いです。炎症が関与している一部の症例や、他の原因による痛みが合併している場合に用いられることがあります。

治療の注意点と専門医との連携

薬物療法は、医師が患者さん一人ひとりの症状の性質、重症度、併発症、そしてライフスタイルを詳しく診察し、最適な薬の種類や量を決定することが非常に重要です。自己判断で服用を中止したり、量を変更したりすると、症状が悪化したり、離脱症状が出たりする可能性があります。

当クリニックでは、患者さんの状態を定期的に評価しながら、薬の効果と副作用のバランスを考慮し、最適な薬物療法をご提案します。薬だけに頼らず、生活習慣の改善や、当クリニック独自の「サトワタッチケア」と組み合わせることで、より効果的な症状のコントロールを目指します。線維筋痛症のつらい症状にお悩みの方は、決して諦めず、ぜひご相談ください。

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