• 2025年8月13日
  • 2025年8月8日

記事6:食道アカラシアと間違えられやすい病気~適切な診断の重要性~

「胃カメラを飲んだけど、異常なしと言われた」「逆流性食道炎だと思っていたら、症状が全然良くならない」。食道アカラシアは、その症状が他の消化器疾患と似ているため、見過ごされたり、誤診されたりすることが少なくありません。特に、初期の症状が軽度であったり、逆流症状がある場合には、他の病気と間違えられやすい傾向があります。正確な診断を受けることは、適切な治療へと繋がる最初の、そして最も重要なステップです。

食道アカラシアと間違えられやすい主な病気としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 逆流性食道炎: 胸やけ、胸の痛み、飲み込みにくさ、咳などが共通していますが、食道アカラシアは胃酸の逆流よりも食べ物の詰まりが主症状です。
  • 機能性ディスペプシア(機能性胃腸症): 胃もたれ、早期飽満感、胃の痛みなどが主症状ですが、飲み込みにくさや胸のつかえ感を伴うこともあります。
  • 食道がん: 飲み込みにくさや体重減少が共通していますが、進行性で他の重篤な症状を伴うことがあります。必ず鑑別が必要です。
  • 食道痙攣: 食道の異常な収縮で胸痛や飲み込みにくさを伴いますが、アカラシアとは異なり、蠕動運動自体は保たれていることが多いです。
  • 神経性食思不振症などの精神疾患: 食事ができない、体重減少があるという点で似ていますが、食道アカラシアは食道の器質的な問題です。
  • 精神的なストレスによる咽喉頭異常感症: 喉の異物感や違和感が主で、飲み込み自体は問題ないことが多いです。

これらの病気と症状が重複するため、自己判断せずに、必ず専門医の診察を受けることが不可欠です。

食道アカラシアの診断には、専門的な検査が欠かせません。

  • 食道造影検査(バリウム検査): 食道が拡張し、下部食道括約筋が「鳥のくちばし」のように細く尖る特徴的な所見が見られます。
  • 食道内圧検査: 食道アカラシアの診断に最も重要な検査です。下部食道括約筋の圧力が異常に高いことや、食べ物が入っても緩まないこと、食道の蠕動運動が消失していることを確認します。
  • 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ): 他の病気を除外したり、食道内部の状態を確認したりするために行われます。

誤った診断のまま治療を進めても、症状はなかなか改善しません。当院では、心療内科の専門医として、患者さんの症状を丁寧に伺い、正確な診断と適切な治療方針をご提案することで、患者さんが本来の健やかな生活を取り戻せるよう全力でサポートいたします。「もしかして」と感じたら、ためらわずに専門医にご相談ください。

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