• 2025年8月10日
  • 2025年8月8日

記事3:食道アカラシアが引き起こす日常生活への影響~食事の苦痛、体重減少、誤嚥リスク~

「ご飯を食べるのが苦痛で、食事が楽しめない」「どんどん体重が減ってしまい、体力も落ちた」「夜中に咳き込んで、息苦しくなることがある」。食道アカラシアは、食べることができなくなるという点で、患者さんの日常生活に極めて深刻な影響を及ぼします。食事は、単なる栄養補給だけでなく、人生の喜びや人とのコミュニケーションの場でもあります。それが奪われる苦痛は、計り知れません。
まず、最も顕著なのは食事の際の苦痛です。食べ物や飲み物が食道で詰まる感覚、胸のつかえ感は、食事への恐怖心を募らせます。人前での食事が億劫になり、外食を避けるようになることで、社会的な交流が減り、孤立感を感じる患者さんも少なくありません。食べられるものが限られたり、一口一口を非常にゆっくりと、あるいは大量の水分で流し込むように食べなければならなかったりするため、食事に膨大な時間がかかり、心身ともに疲弊してしまいます。
次に、体重減少と栄養失調です。食べられる量が限られ、吐き戻しが頻繁に起こるため、必要な栄養を摂取できず、著しい体重減少や栄養失調に陥ることがあります。これにより、体力や免疫力が低下し、他の病気にかかりやすくなるリスクも高まります。
そして、特に注意が必要なのが誤嚥(ごえん)のリスクです。食道に溜まった食べ物や唾液が、睡眠中に気管に入り込んでしまうことがあります。これが原因で、夜間の激しい咳や喘息様症状、さらには誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。誤嚥性肺炎は、特に高齢の患者さんにとっては命に関わる重篤な合併症となることもあります。
このような身体的な苦痛とそれに伴う不安は、患者さんの精神的な健康にも大きな影響を与えます。食事ができないことへの絶望感、体力の低下による無力感、将来への不安などから、うつ病や不安障害を併発するリスクも高まります。
当院では、心療内科の専門医として、食道アカラシアによって引き起こされるこれらの心身の不調にも細やかに対応します。患者さんの訴えを丁寧に聞き、身体と心の両面からアプローチすることで、症状の緩和だけでなく、失われた日常生活の質を取り戻すサポートをいたします。痛みや不調は我慢するものではありません。ぜひ一度、専門家にご相談ください。

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