• 2025年8月9日
  • 2025年8月8日

記事2:食道アカラシアの謎を解く!神経の異常と食道機能の深い関係

「どうして急に食べ物が飲み込めなくなったんだろう?」「この病気の原因は何なのだろう?」食道アカラシアに悩む患者さんからよく聞かれる疑問です。食道アカラシアは、食道の動きをコントロールする神経の異常が原因で引き起こされる病気だと考えられています。

食道には、食べ物を胃に送り出す「蠕動運動」と、食道と胃の境目にある「下部食道括約筋」の開閉を調整する神経のネットワークがあります。この神経は、私たちの意識とは関係なく働く自律神経の一部であり、非常に繊細なバランスで機能しています。

食道アカラシアの患者さんでは、食道の壁の中にある神経細胞(特にアウエルバッハ神経叢と呼ばれる部分)が減少したり、変性したりしていることが分かっています。この神経細胞の異常により、以下の2つの問題が起こります。

  1. 下部食道括約筋の弛緩不全: 通常、食べ物が食道に到達すると、下部食道括約筋は反射的に緩んで胃に食べ物を送ります。しかし、神経細胞の異常により、この弛緩反応が起きず、括約筋が閉じたままになってしまうため、食べ物が胃に落ちていきません。
  2. 食道の蠕動運動の消失または低下: 食道の筋肉が波打つように収縮して食べ物を送り出す蠕動運動も、神経細胞の異常により、うまく行われなくなります。食道全体がまるで麻痺したかのように動かなくなるため、食べ物は食道内に停滞してしまいます。

残念ながら、この神経細胞の異常がなぜ起こるのか、その根本的な原因はまだ完全には解明されていません。遺伝的要因、ウイルス感染、自己免疫疾患などが関連している可能性が指摘されていますが、多くの場合は特定できません。そのため、特発性(原因不明)アカラシアと呼ばれることがほとんどです。

このように、食道アカラシアは、食道の神経システムに問題が生じることで、食べ物の通り道が機能不全に陥る病気です。当院では、心療内科の専門医として、食道アカラシアの身体症状だけでなく、それが引き起こすストレスや心の不調にも着目し、総合的なアプローチで患者さんの回復をサポートします。

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