- 2025年8月12日
- 2025年8月4日
9. 家族や友人ができること〜神経頻尿で悩む人を支えるために〜
「大切な人が、いつもトイレのことを心配している」「どう声をかけたらいいか、どんなサポートができるのか分からない」。身近な人が神経頻尿に悩んでいる時、あなたはどのように接すれば良いか、何ができるのか、戸惑ってしまうかもしれません。しかし、あなたの理解と適切なサポートは、神経頻尿で苦しむ人にとって、かけがえのない力となります。
支える側がまず知っておくべきこと
- 「病気である」という理解:
- 神経頻尿は、「気のせい」や「気の緩み」「我慢が足りない」といったものではありません。精神的なストレスや自律神経の乱れが引き起こす「病気」であり、本人の意志や努力だけではコントロールできない症状です。
- 「そんなに気にするな」「もっと我慢しろ」といった言葉は、かえって本人を追い詰めてしまうことがあります。
- 症状の特性を理解する:
- 特定の状況（人前、移動中など）で特に症状が出やすいこと。
- 泌尿器科の検査では異常が見つからないこと。
- 常にトイレの場所を気にする、外出を避けるなど、生活に大きな影響が出ていること。 これらの特性を理解することで、本人の苦しみに寄り添いやすくなります。
家族や友人にできる具体的なサポート
- 傾聴と共感:
- 本人が話したい時に、批判せず、ただ寄り添い、耳を傾けましょう。
- 「それは辛いね」「大変な思いをしているんだね」といった共感の言葉をかけることが大切です。
- 「私にできることがあれば、いつでも言ってね」と、具体的なサポートの意思を伝えましょう。
- 無理強いしない、責めない:
- トイレに行くことを無理強いしたり、「また行くの？」と責めたりすることは絶対に避けましょう。
- 外出や活動を避ける行動がある場合も、その理由を理解し、無理に誘わないようにしましょう。
- 受診を優しく促す:
- 本人が病院に行くべきか迷っていたり、抵抗があったりすることがあります。
- 「一人で抱えなくていいんだよ」「専門の先生に相談してみない？」など、優しく声をかけ、必要であれば一緒に受診に付き添いましょう。
- 病気について一緒に調べ、適切な医療機関（泌尿器科、心療内科など）の情報を共有するのも良いでしょう。
- トイレへの配慮と安心感の提供:
- 一緒に外出する際など、事前にトイレの場所を確認しておくといった配慮をしましょう。
- 長時間の移動では、休憩をこまめにとるなど、本人が安心して過ごせるような工夫をしましょう。
- 「大丈夫だよ、いつでもトイレに行けるからね」といった、安心できる言葉がけも大切です。
- 日常生活でのストレスを減らす:
- 神経頻尿はストレスによって悪化しやすい症状です。本人のストレスの原因を探り、可能な範囲でそれを軽減できるような協力体制を考えましょう。
- 例えば、家事や育児の分担、仕事の負担軽減、リラックスできる時間を作るなど。
- 完璧主義を手放す手助けをする:
- 「尿意を感じたら我慢しなければならない」「完璧にコントロールできなければならない」という本人のプレッシャーを和らげる手助けをしましょう。
- 「少しくらい大丈夫だよ」「完璧じゃなくてもいいんだよ」といった、温かい言葉をかけましょう。
- 小さな成功を共有し、励ます:
- 外出ができた、排尿間隔が少し伸びたなど、どんなに小さなことでも、「よく頑張ったね！」「すごいね！」と具体的に褒め、励ましましょう。
- ポジティブなフィードバックが、本人の自信に繋がり、治療へのモチベーションを高めます。
- 家族や友人自身も心のケアを:
- 大切な人が苦しんでいるのを見るのは辛いことです。支える側も精神的な負担を感じることがあります。
- 自分自身のストレスも管理し、必要であれば信頼できる人に相談するなど、自身の心のケアも大切にしてください。
神経頻尿で悩む人を支えることは、根気と理解が必要です。もし、どのように支えれば良いか悩んだら、どうぞ当院にご相談ください。私たちは、神経頻尿の患者さんだけでなく、ご家族の心の健康もサポートいたします。