- 2025年8月11日
- 2025年8月4日
9. 家族や友人ができること〜書痙で悩む人を支えるために〜
「大切な人が、字を書くときに手が震えて困っている」「どう声をかけたらいいか分からない」。身近な人が書痙に悩んでいる時、あなたはどのように接すれば良いか、何ができるのか、戸惑ってしまうかもしれません。しかし、あなたの理解と適切なサポートは、書痙で苦しむ人にとって、かけがえのない力となります。
支える側がまず知っておくべきこと
- 「病気である」という理解:
- 書痙は、「気の持ちよう」や「努力不足」ではありません。脳の機能的な問題や心理的要因が複雑に絡み合って生じる「病気」です。
- **「本人の意志や努力だけではコントロールできない症状である」**ことを理解することが、サポートの第一歩です。
- 「頑張れば治る」「気にしすぎだ」といった言葉は、かえって本人を追い詰めてしまうことがあります。
- 症状の特性を理解する:
- 特定の状況(人前での署名など)でのみ症状が出やすいこと。
- 普段はきれいに字が書けること。
- 本人が一番つらい、恥ずかしいと感じていること。 これらの特性を理解することで、本人の苦しみに寄り添いやすくなります。
家族や友人にできる具体的なサポート
- 傾聴と共感:
- 本人が話したい時に、批判せず、ただ寄り添い、耳を傾けましょう。
- 「それは辛いね」「大変な思いをしているんだね」といった共感の言葉をかけることが大切です。
- 「私にできることがあれば、いつでも言ってね」と、具体的なサポートの意思を伝えましょう。
- 無理強いしない、責めない:
- 字を書くことを無理強いしたり、「なぜ書けないの?」と責めたりすることは絶対に避けましょう。
- 本人が字を書きたくない状況であれば、無理に書かせず、その選択を尊重しましょう。
- 受診を優しく促す:
- 本人が病院に行くべきか迷っていたり、抵抗があったりすることがあります。
- 「一人で抱えなくていいんだよ」「専門の先生に相談してみない?」など、優しく声をかけ、必要であれば一緒に受診に付き添いましょう。
- 病気について一緒に調べ、適切な医療機関の情報を共有するのも良いでしょう。
- 代替手段を提案・手配する:
- 字を書く場面での具体的なサポートを提案しましょう。
- 例: 家族が代筆する(本人に許可を得て)、PC入力やはんこで対応する、スマートフォンやタブレットでのメモを勧めるなど。
- 本人にとってプレッシャーの少ない方法を一緒に考え、実行をサポートしましょう。
- 字を書く場面での具体的なサポートを提案しましょう。
- 日常生活でのストレスを減らす:
- 書痙はストレスによって悪化しやすい症状です。本人のストレスの原因を探り、可能な範囲でそれを軽減できるような協力体制を考えましょう。
- 例えば、家事や育児の分担、仕事の調整など。
- 完璧主義を手放す手助けをする:
- 「完璧な字を書かなければならない」という本人のプレッシャーを和らげる手助けをしましょう。
- 「多少字が乱れても、読めれば大丈夫だよ」「あなたが書いた字なら、どんな形でも嬉しいよ」といった、温かい言葉をかけましょう。
- 小さな成功を共有し、励ます:
- 症状が少しでも改善した時や、書けた時には、「すごいね!」「よく書けたね!」と具体的に褒め、励ましましょう。
- ポジティブなフィードバックが、本人の自信に繋がり、治療へのモチベーションを高めます。
- 家族や友人自身も心のケアを:
- 大切な人が苦しんでいるのを見るのは辛いことです。支える側も精神的な負担を感じることがあります。
- 自分自身のストレスも管理し、必要であれば信頼できる人に相談するなど、自身の心のケアも大切にしてください。
書痙で悩む人を支えることは、根気と理解が必要です。もし、どのように支えれば良いか悩んだら、どうぞ当院にご相談ください。私たちは、書痙の患者さんだけでなく、ご家族の心の健康もサポートいたします。