• 2025年8月5日
  • 2025年8月4日

2. 「ただの緊張」じゃない!書痙の具体的なサインと症状

「ペンを握ると、なぜか指が固まってしまう」「署名をするときだけ、手がガクガク震える」。人前で字を書く場面で、このような症状に悩まされていませんか? 書痙は、単なる「あがり症」や「緊張」では片付けられない、具体的な身体的・精神的サインを伴う疾患です。もし、あなたがこれらの症状に心当たりがあるなら、それは書痙が発しているSOSかもしれません。

書痙の主な身体的サインと症状

書痙の身体症状は、主に字を書くという動作に特化して現れるのが特徴です。

  • 震え(振戦):
    • ペンを握る瞬間や、字を書き始めると同時に、手が小刻みに、あるいは大きく震え始めます。
    • 文字が波打ったように乱れたり、線が途切れたりして、読みにくくなります。
    • 書こうとする意識が強いほど、震えがひどくなる傾向があります。
  • こわばり・痙攣(けいせい):
    • ペンを握る指や手首、腕の筋肉が異常にこわばり、力が入ってしまいます。
    • ペンを強く握りすぎて、指が白くなったり、手が痛くなったりすることもあります。
    • 文字が小さく、線が硬くなり、読みにくくなることがあります。
    • 書く速度が極端に遅くなったり、途中で手が止まって動かなくなったりすることもあります。
  • 多汗:
    • 字を書こうとすると、手のひらに尋常ではないほど汗をかくことがあります。
  • 字の乱れ・不均一さ:
    • 字の大きさが不揃いになったり、バランスが崩れたりします。
    • 普段はきれいに書ける字が、特定の状況下でのみ著しく乱れるのが特徴です。

書痙の精神的サインと日常生活への影響

身体症状だけでなく、書痙は患者さんの精神状態や日常生活にも深く影響を及ぼします。

  • 予期不安:
    • 字を書く場面が来る前から、「また手が震えるのではないか」「うまく書けなかったらどうしよう」という強い不安感に襲われます。
    • この予期不安が、実際に症状を悪化させる悪循環を生み出します。
  • 回避行動:
    • 症状が出ることを恐れ、字を書く場面を積極的に避けるようになります。
    • 例えば、署名が必要な書類は家族に書いてもらう、人前でメモを取るのを控える、手書きの作業を避けるなど。
  • 自己肯定感の低下:
    • 「なぜ自分だけこんな症状が出るのだろう」「みんなは普通に書けるのに」といった思いから、自分を責めたり、自信を失ったりすることがあります。
    • 社会的な活動や対人関係にも影響が出て、孤立感を感じることもあります。
  • 具体的な発症状況:
    • 多くの書痙患者は、人前で署名をするとき、会議でメモを取るとき、銀行の伝票を書くとき、試験で答案を書くときなど、「他者に見られる」あるいは「失敗が許されない」と感じる状況で症状が顕著に現れます。
    • 一人で気楽に字を書く際には症状が出にくい、という特徴を持つ人もいます。

もし、あなたがこれらのサインに心当たりがあり、字を書くことへの恐怖が日常生活に大きな影響を与えているなら、それは決して「ただの緊張」ではありません。書痙は、適切なケアで改善が見込める疾患です。どうぞ一人で抱え込まず、当院にご相談ください。私たちはあなたの苦しみに寄り添い、共に解決の道を歩んでいきます。

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