- 2025年7月24日
- 2025年7月22日
3,円形脱毛症の正しい診断方法:専門医が行う検査とプロセス
「頭皮に円いハゲができたけど、これって本当に円形脱毛症?」 「皮膚科に行ったけど、どんな検査をするの?」 突然の脱毛斑に戸惑い、不安を感じている方も多いでしょう。円形脱毛症は、自己免疫疾患という特殊な病気であり、正しい診断を受けることが適切な治療への第一歩となります。ここでは、皮膚科などの専門医がどのように円形脱毛症を診断していくのか、そのプロセスと検査方法について解説します。
診断の第一歩は「丁寧な問診と視診」
円形脱毛症に特異的な血液検査や画像検査がないため、診断は主に医師による詳細な問診と**丁寧な視診(目視での確認)**から始まります。
- 問診:
- いつから脱毛に気づいたか:突然の脱毛なのか、徐々に進行したのか。
- 脱毛斑の数や大きさ、広がり:単発か多発か、頭部以外にもあるか。
- 自覚症状:痛みやかゆみがあるか。
- 既往歴と家族歴:過去に脱毛症や自己免疫疾患の経験はないか、家族に円形脱毛症の人がいるか。
- アレルギー体質:アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎などのアトピー素因があるか。
- ストレスや生活習慣:最近、大きなストレスがあったか、睡眠や食生活に変化はないか。 患者さんからの情報が診断の大きな手がかりとなるため、些細なことでも医師に伝えることが重要です。
- 視診・触診: 医師が直接、頭皮や脱毛斑の状態を目で見て、手で触って確認します。
- 脱毛斑の境界や形状:円形脱毛症に特徴的な、境界がはっきりした円形・楕円形の脱毛斑かを確認します。
- 毛穴の状態:毛穴が残っているか、炎症があるかなどを確認します。
- 毛の異常:脱毛斑の縁に、根元が細く折れやすい「切れ毛(感嘆符毛)」と呼ばれる短い毛がないかなどを確認します。これは活動性の脱毛を示唆する所見です。
- 爪の異常:爪の表面に小さなへこみ(点状陥凹)や、縦筋(縦溝)がないかも確認します。これらも円形脱毛症に特徴的な所見の一つです。
診断をサポートする検査
診断をより確実にするため、必要に応じて追加の検査が行われることがあります。
- ダーモスコピー: 拡大鏡の一種であるダーモスコープを使って、頭皮や毛根の状態を詳細に観察します。肉眼では見えにくい毛細血管の異常や、毛母細胞の活動性、再生の兆候などを確認できるため、診断の精度を高めるのに役立ちます。
- 抜毛試験(プルテスト): 脱毛斑の周囲の毛を軽く引っ張り、どの程度の毛が抜けるかを確認する検査です。簡単に毛が抜ける場合、脱毛がまだ進行中であることを示唆します。
- 血液検査: 円形脱毛症は自己免疫疾患であるため、他の自己免疫疾患(特に甲状腺疾患)を合併していることがあります。そのため、それらの病気を除外したり、関連性を確認したりするために、血液検査で甲状腺ホルモンや自己抗体の有無などを調べることがあります。
他の脱毛症との鑑別が重要
円形脱毛症と診断を確定するためには、**他の脱毛症との鑑別(見分け)**が非常に重要です。例えば、以下のような脱毛症と区別する必要があります。
- 男性型脱毛症(AGA)や女性型脱毛症: 遺伝やホルモンが関与し、特定のパターンで毛が薄くなる。
- 脂漏性脱毛症: 頭皮の炎症や皮脂の過剰分泌が原因で起こる。
- 牽引性脱毛症: ポニーテールなど、髪を強く引っ張ることで起こる。
- 抜毛症: 精神的な要因で、自分で毛を抜いてしまう癖。
これらの脱毛症は治療法が異なるため、正確な診断が非常に大切です。
もし、あなたが円形脱毛症かもしれないと不安を感じているなら、一人で悩まず、まずは皮膚科の専門医にご相談ください。当クリニックでは、患者さんの症状に真摯に耳を傾け、丁寧な診察と適切な検査を通じて、あなたに最適な治療へと導きます。