• 2025年7月23日
  • 2025年7月22日

2,円形脱毛症はなぜ起こる?自己免疫疾患としてのメカニズム

「ストレスで髪が抜けたの?」「食生活が悪いのかな?」円形脱毛症になると、多くの方がその原因について思い悩むことでしょう。しかし、円形脱毛症は単なるストレスや生活習慣の乱れだけで起こるものではありません。実は、自己免疫疾患という、体の免疫システムが関わる複雑なメカニズムによって引き起こされると考えられています。


免疫システムが「誤作動」?毛包への攻撃

私たちの体には、ウイルスや細菌などの外敵から身を守るための免疫システムが備わっています。免疫細胞の一種であるTリンパ球は、通常、外敵を正確に識別して攻撃する役割を担っています。

しかし、円形脱毛症の場合、このTリンパ球が誤って自分の体の一部を「敵」と認識し、攻撃を始めてしまうのです。攻撃の標的となるのが、髪の毛を作り出す工場のような存在である**毛包(もうほう)**です。

  • Tリンパ球の誤作動: 本来、毛包を守るべきTリンパ球が、何らかのきっかけで毛包を異物と見なし、攻撃を開始します。
  • 毛の成長の停止: 攻撃を受けた毛包は炎症を起こし、毛の成長サイクルが途中で止まってしまいます。その結果、本来まだ抜ける時期ではない髪の毛が抜け落ちてしまい、円形の脱毛斑が生じるのです。
  • 毛包の温存: 重要なのは、毛包自体が完全に破壊されるわけではないということです。攻撃が止まれば、毛包は回復し、再び髪の毛を作り出す能力を持っているため、発毛の可能性があるのです。

発症の引き金となる可能性のある要因

なぜ、免疫システムがこのような「誤作動」を起こしてしまうのか、そのメカニズムはまだ完全に解明されていません。しかし、いくつかの要因が発症の引き金や悪化に関わっていると考えられています。

  • 遺伝的素因: 円形脱毛症は、遺伝的な要素が関与していることが指摘されています。ご家族に円形脱毛症の患者さんがいる場合、発症リスクがやや高まる傾向があります。特定の遺伝子が、自己免疫反応を引き起こしやすくする可能性が研究されています。
  • ストレス: 「ストレスは万病の元」と言われますが、円形脱毛症においても、精神的・肉体的なストレスが発症や悪化の引き金となることがあります。強いストレスは、自律神経やホルモンバランスを乱し、免疫システムに影響を与えると考えられています。ただし、ストレスだけで円形脱毛症が起こるわけではありません。
  • アトピー素因: アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎など、アトピー素因を持つ人に円形脱毛症の発症が多いことが知られています。これは、免疫システムの特性が共通しているためと考えられています。
  • 内分泌異常・感染症など: 甲状腺機能の異常など、内分泌系の病気との関連が指摘されることもあります。また、インフルエンザなどの感染症がきっかけで発症することもあります。

このように、円形脱毛症は、免疫システムの誤作動を背景に、様々な要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。原因が多岐にわたるため、治療も単一のアプローチではなく、それぞれの患者さんの状態や背景に合わせた多角的なアプローチが必要となります。

当クリニックでは、これらの複雑な原因に目を向け、患者様一人ひとりに最適な治療計画をご提案いたします。円形脱毛症でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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