• 2025年7月23日
  • 2025年7月22日

2. なぜ起こる?メニエール病のメカニズムと発症のリスク要因

「突然のめまいや耳鳴りに悩まされるメニエール病。一体なぜこんなことが起こるの?」「自分もメニエール病になる可能性があるの?」。メニエール病の症状は、日常生活に大きな影響を与えるため、その原因や発症のリスクについて知りたい方は多いでしょう。メニエール病の根本的な原因はまだ完全には解明されていませんが、近年、その発症メカニズムと、関与すると考えられるリスク要因が明らかになってきています。


メニエール病の主役「内リンパ水腫」とは?

メニエール病の直接的な原因は、内耳(耳の奥深くにあり、聴覚と平衡感覚をつかさどる器官)のリンパ液が過剰に溜まって、水ぶくれのような状態になる**内リンパ水腫(ないリンパすいしゅ)**であると考えられています。

内耳には、「蝸牛(かぎゅう)」と呼ばれる聴覚に関わる部分と、「前庭(ぜんてい)」と呼ばれる平衡感覚に関わる部分があります。これらは「膜迷路」という構造で覆われており、その中を満たしているのが「内リンパ液」です。

通常、内リンパ液は一定の量に保たれ、作られる量と吸収される量のバランスが取れています。しかし、何らかの原因でこのバランスが崩れ、内リンパ液が過剰に増えると、膜迷路が膨らんで内リンパ水腫が起こります。

この内リンパ水腫によって、

  • 聴覚器官(蝸牛)が圧迫される: 難聴や耳鳴り、耳閉感が生じます。
  • 平衡感覚器官(前庭)が刺激される: 強いめまいが生じます。

そして、内リンパ水腫が破裂したり、再び吸収されたりする過程で、これらの症状が突然現れたり、治まったりを繰り返すと考えられています。


なぜ内リンパ水腫が起こるのか?発症のリスク要因

内リンパ水腫がなぜ起こるのかは、まだ完全には解明されていませんが、複数の要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

  1. ストレス・疲労: 精神的、肉体的なストレスや過労は、自律神経のバランスを乱し、内耳の血流やリンパ液の循環に影響を与えると考えられています。メニエール病の患者さんの多くが、発症前に強いストレスや疲労を感じていたと報告しています。
  2. 睡眠不足: 十分な睡眠が取れていない状態も、ストレスと同様に自律神経の乱れに繋がり、発症リスクを高める可能性があります。
  3. 気圧の変化: 台風や低気圧の接近など、急激な気圧の変化が内耳のリンパ液のバランスに影響を与え、めまい発作の引き金となることがあります。飛行機に乗った時や高い山に登った時なども、同様のリスクがあります。
  4. 不規則な生活習慣: 食生活の乱れ、不規則な生活リズム、カフェインやアルコールの過剰摂取なども、自律神経のバランスに影響し、発症リスクを高める可能性があります。
  5. 性格的傾向: 几帳面、神経質、完璧主義といった性格の人は、ストレスをため込みやすく、メニエール病になりやすい傾向があると言われています。
  6. 遺伝的要因: ごく一部のケースでは、家族内にメニエール病の患者さんがいることがありますが、遺伝だけで発症する病気ではありません。
  7. アレルギー: 一部の研究では、アレルギー体質との関連も示唆されていますが、まだ明確な結論は出ていません。

これらのリスク要因は、内リンパ水腫を引き起こす直接の原因ではありませんが、内耳のリンパ液のバランスを崩しやすくし、メニエール病の発症や症状の悪化に影響すると考えられています。


予防と早期対応のために

メニエール病の発症を完全に防ぐことは難しいですが、これらのリスク要因を理解し、日常生活でストレスや疲労を溜め込まないように心がけることは、非常に重要です。

  • ストレスマネジメント: 適度な運動、趣味、リラックスできる時間を作るなど。
  • 十分な睡眠: 規則正しい睡眠リズムを心がける。
  • 規則正しい生活: バランスの取れた食事、規則的な生活を送る。

もし、メニエール病の症状に心当たりがある場合は、自己判断せずに耳鼻咽喉科を受診し、専門医の診断を受けることが大切です。当クリニックでは、患者さんの状態を総合的に評価し、早期発見・早期対応で、症状のコントロールをサポートいたします。

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