• 2025年7月30日
  • 2025年7月22日

9. ドライアイと全身の病気:隠れた関係性を知る

「ドライアイの症状が、実は他の病気と関係しているって本当?」「目が乾くだけじゃない、体の不調も気になる…」。ドライアイは目の症状ですが、実は全身の病気と密接な関係があることをご存知でしょうか。目の乾燥は、時に全身の病気のサインとして現れることがあります。この記事では、ドライアイと関連が深い全身の病気について解説し、目の症状だけでなく、体全体の健康にも目を向けることの重要性をお伝えします。


ドライアイと関連の深い全身の病気

  1. シェーグレン症候群:
    • 特徴: ドライアイの最も代表的な全身疾患であり、自己免疫疾患の一種です。涙腺や唾液腺などの外分泌腺が、免疫細胞によって攻撃され、涙や唾液の分泌が極端に減少します。
    • 症状: 強い目の乾燥感(砂が入ったよう)、異物感、まぶしさ、口の乾燥(ドライマウス)、関節の痛み、皮膚の乾燥、疲労感など、全身に様々な症状が現れます。
    • 診断: 目の検査だけでなく、血液検査(自己抗体の有無)、唾液腺の検査などを行い、総合的に診断されます。
    • 注意点: 目の乾燥や口の乾燥がひどい場合は、シェーグレン症候群の可能性も考慮し、内科やリウマチ科との連携も必要となることがあります。
  2. 甲状腺機能亢進症(バセドウ病など):
    • 特徴: 甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。目の症状(甲状腺眼症)が現れることがあります。
    • 症状: 眼球突出(目が飛び出す)、まぶたの腫れ、眼瞼後退(まぶたが吊り上がる)、複視(ものが二重に見える)、そして目の乾燥感や異物感。目が乾きやすく、涙の蒸発も促進されます。
    • 診断: 血液検査で甲状腺ホルモン値を測定します。
  3. 糖尿病:
    • 特徴: 高血糖が続くことで、全身の血管や神経に障害を引き起こす病気です。目の合併症(糖尿病網膜症など)が知られていますが、涙の分泌にも影響を与えることがあります。
    • 症状: 神経障害により、涙の分泌が低下したり、角膜の感覚が鈍くなったりして、ドライアイの症状が現れやすくなります。
    • 注意点: 糖尿病の治療と並行して、ドライアイの症状も管理する必要があります。
  4. 関節リウマチなどの膠原病:
    • 特徴: 自己免疫疾患の一種で、関節を中心に全身の様々な臓器に炎症を引き起こします。涙腺や唾液腺の炎症を伴うこともあり、シェーグレン症候群を合併することもあります。
    • 症状: 関節の痛みや腫れ、こわばり、疲労感に加え、ドライアイの症状が現れることがあります。
  5. 一部の薬剤の副作用:
    • 特徴: 全身疾患の治療のために服用している薬剤が、涙の分泌を抑制し、ドライアイを引き起こすことがあります。
    • : 抗ヒスタミン薬(アレルギー薬)、抗うつ薬、精神安定剤、降圧剤、利尿剤など。
    • 注意点: 服用中の薬で目の乾燥が気になる場合は、自己判断で中断せずに、必ず処方医や眼科医に相談しましょう。

目の症状から全身の健康を考える

目の乾燥や不快感は、単なる「目の問題」として捉えがちですが、上記のように全身の病気のサインである可能性も十分にあります。

  • ドライアイ以外の症状: 口の乾燥、関節の痛み、全身の倦怠感、体重の変化など、目の症状以外に気になる体調の変化がある場合は、必ず医師に伝えましょう。
  • かかりつけ医との連携: 全身の病気を治療している場合は、かかりつけの内科医などと眼科医が連携し、情報共有することで、より適切な治療方針を立てることができます。

ドライアイの症状が長く続いたり、他の体の不調を伴ったりする場合は、自己判断せずに、まずは眼科を受診し、必要に応じて内科など他の専門医とも連携して原因を詳しく調べることが重要です。当クリニックでは、患者さんの目の状態だけでなく、全身の健康状態も考慮し、総合的な視点から治療とアドバイスを提供しています。

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