• 2025年7月29日
  • 2025年7月22日

8. ドライアイ治療の新たな選択肢!IPL治療と再生医療の可能性

「目薬やプラグ治療だけでは改善しない…」「最新のドライアイ治療ってどんなものがあるの?」。従来のドライアイ治療でなかなか効果を実感できない方もいらっしゃるかもしれません。近年、ドライアイの治療は進化を遂げ、特に涙の油層の異常が原因となるドライアイに対して、IPL(Intense Pulsed Light)治療という新しい選択肢が登場しています。さらに、将来的には再生医療がドライアイ治療に革命をもたらす可能性も期待されています。


IPL(Intense Pulsed Light)治療:マイボーム腺機能不全(MGD)に特化した治療

IPL治療は、皮膚科の美容医療でシミや脱毛などに使われる光治療器を、ドライアイ治療に応用したものです。特に、現代のドライアイの多くを占める「涙液蒸発亢進型ドライアイ」の主要な原因である**マイボーム腺機能不全(MGD)**に対して、高い効果が期待されています。

  • 治療のメカニズム:
    1. 温熱効果: IPLの光エネルギーがマイボーム腺周辺の組織に熱を加え、詰まった油分(脂腺栓)を溶かし、排出しやすくします。
    2. 異常血管の収縮: まぶたの炎症の原因となる異常な毛細血管を収縮させ、炎症を抑えます。
    3. 細菌の殺菌: まぶたの表面に存在する常在菌やダニ(デモデックス)を殺菌し、炎症を抑制します。
    4. マイボーム腺の機能改善: これらの一連の作用により、マイボーム腺の機能が改善し、質の良い油分が分泌されるようになります。これにより、涙の蒸発が抑えられ、ドライアイの症状が改善します。
  • 治療の流れ: 顔に専用のジェルを塗り、目に遮光板を当てて保護した状態で、目の下の皮膚や、まぶたの周辺に光を数回照射します。その後、マイボーム腺から溶け出した油分を圧出することもあります。
  • 通常、1回の治療は数分で終了し、複数回(3~4週間ごとに3~4回程度)行うことで効果が高まるとされています。
  • メリット:
  • 根本的な原因(MGD)にアプローチできる。
  • 点眼薬だけでは得られにくい効果が期待できる。
  • 症状の改善が持続する傾向がある。
  • 注意点:
  • すべてのドライアイに有効なわけではなく、MGDが原因のドライアイに特化しています。
  • 複数回の治療が必要となることが多いです。
  • 治療後、一時的な赤みや熱感が生じることがあります。

IPL治療は、日本では比較的新しい治療法ですが、海外ではすでに広く行われており、高い治療効果が報告されています。


再生医療の可能性:未来のドライアイ治療

現在、ドライアイの治療は対症療法が中心ですが、将来的に根本的な治療を可能にする再生医療が注目を集めています。

  • 脂肪由来幹細胞による治療: 患者さん自身の脂肪から採取した幹細胞を、目の表面に点眼したり、注射したりすることで、目の表面の組織を再生させ、炎症を抑える効果が期待されています。幹細胞は、様々な細胞に分化する能力や、炎症を抑える、組織の修復を促すといった働きを持つため、ドライアイの根本治療に繋がる可能性を秘めています。
  • 涙腺の再生: 加齢や病気で機能が低下した涙腺そのものを、iPS細胞などを用いて再生させる研究も進められています。これが実現すれば、涙の分泌量を根本的に増やすことができるようになります。

再生医療はまだ研究段階であり、臨床応用には時間がかかりますが、将来のドライアイ治療に大きな希望をもたらすものとして期待されています。


ドライアイの治療法は日々進化しています。従来の治療法で症状が改善しない場合でも、諦めずに専門医に相談し、最新の治療法についても情報収集することが大切です。当クリニックでは、患者さんの目の状態を正確に診断し、点眼薬、涙点プラグ、そして新しいIPL治療など、患者さん一人ひとりに最適な治療プランをご提案することで、快適な目の状態を取り戻すお手伝いをいたします。

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