- 2025年7月23日
- 2025年7月22日
3. もう我慢しない!ドライアイの正しい診断と治療方法
「市販の目薬をさしてもスッキリしない」「ドライアイって病院でどうやって診断するの?」。目の不快感が続くドライアイは、日常生活の質を大きく低下させます。自己判断で市販薬を使い続けるよりも、専門医による正しい診断と適切な治療を受けることが、症状改善への近道です。この記事では、眼科で行われるドライアイの診断方法と、症状の程度に応じた様々な治療アプローチについて詳しく解説します。
ドライアイの診断方法:涙の状態を詳しくチェック
ドライアイの診断は、患者さんの自覚症状だけでなく、涙の量や質、目の表面の状態を客観的に評価する検査によって行われます。
- 問診: 目の症状(乾き、異物感、痛み、かすみなど)の具体的な内容、いつから症状があるか、悪化する状況、全身疾患の有無、服用中の薬、生活習慣(パソコン使用時間、コンタクトレンズ使用など)について詳しくお伺いします。
- 細隙灯顕微鏡検査(スリットランプ検査): 目の表面を拡大して観察する基本的な検査です。角膜や結膜の傷の有無、涙液層の状態(涙の量が少ない、油層が不均一など)、マイボーム腺の状態などを確認します。
- 涙液層破壊時間(BUT: Break-Up Time)検査: 目の表面に黄色い色素(フルオレセイン)を点眼し、まばたきを我慢してもらった際に、涙の層がどれくらいの時間で破れるかを測定します。涙が蒸発しやすく、目の表面に涙が安定して留まる時間が短いと、ドライアイと診断されます。正常では10秒以上ですが、ドライアイでは5秒以下になることが多いです。
- シルマーテスト: 目尻に専用のろ紙を5分間挟み、涙の分泌量を測定します。涙の水層の量が少ない涙液分泌減少型のドライアイの診断に有効です。ろ紙が濡れる長さで涙の量を評価します。
- 角膜・結膜の染色検査: フルオレセインやローズベンガルなどの特殊な色素を点眼し、角膜や結膜の傷の有無や程度を詳しく調べます。涙が不足したり質が低下したりすると、目の表面の細胞が傷つきやすくなります。
- マイボーム腺機能不全(MGD)の評価: まぶたの縁にあるマイボーム腺の詰まりや炎症の有無を観察します。MGDは、涙の油層の質を低下させる主要な原因の一つです。専用の機械でマイボーム腺の構造を観察することもあります。
これらの検査結果と自覚症状を総合的に判断し、ドライアイと診断されます。
ドライアイの治療方法:症状に合わせたアプローチ
ドライアイの治療は、症状の程度や原因に応じて、様々なアプローチを組み合わせながら行われます。
- 点眼薬による治療:
- 人工涙液: 涙に近い成分で、目の乾燥感を一時的に和らげます。防腐剤フリーのものが推奨されます。
- ヒアルロン酸点眼薬: 目の表面に水分を保持し、乾燥を防ぎ、角膜の傷の治りを助けます。
- ムチン・水分泌促進点眼薬: 涙の質を改善し、涙の分泌を促進する効果があります。レバミピド(ムコスタ®)やジクアホソルナトリウム(ジクアス®)などがあります。
- 抗炎症点眼薬: 目の表面の炎症が強い場合に使用されます。ステロイド点眼薬や免疫抑制点眼薬(シクロスポリン点眼液)などがあります。
- 涙点プラグ挿入術: 涙は涙点から鼻の奥へと流れていきますが、この涙点をシリコン製のプラグで塞ぐことで、涙が流れ出るのを防ぎ、目の表面に涙を貯留させる治療法です。特に涙液分泌減少型のドライアイに有効です。
- マイボーム腺機能不全(MGD)の治療:
- 温罨法(おんあんぽう): まぶたを温めることで、マイボーム腺の詰まりを解消し、油の分泌を促進します。
- リッドハイジーン(眼瞼清拭): 専用のクレンジング剤などでまぶたの縁を清潔に保ち、マイボーム腺の開口部をきれいにします。
- IPL(Intense Pulsed Light)治療: 特殊な光を照射し、マイボーム腺の機能を改善する治療法です。
- 生活習慣の改善: パソコンやスマートフォンの使用時間の見直し、意識的なまばたき、部屋の加湿、コンタクトレンズの適切な使用、バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレス解消、禁煙なども、ドライアイの症状改善には不可欠です。
ドライアイの治療は、一人ひとりの目の状態やライフスタイルに合わせてカスタマイズされます。自己判断せずに、定期的に眼科を受診し、医師の指示に従って根気強く治療を続けることが大切です。当クリニックでは、最新の診断機器と治療法を組み合わせ、患者さんの快適な目の状態を取り戻すお手伝いをいたします。