- 2025年7月23日
- 2025年7月22日
2. なぜ目が乾くの?ドライアイの意外な原因と日常生活の落とし穴
「一日中、目が乾いて辛い…」「目薬をさしてもすぐに乾いてしまう」。ドライアイは、多くの人が悩む目の不調ですが、その原因は多岐にわたります。単なる「涙の量不足」だけでなく、涙の質の変化や、現代社会における生活習慣の中に、目の乾燥を加速させる意外な落とし穴が潜んでいることも少なくありません。ここでは、ドライアイを引き起こす主な原因と、日常生活で注意すべきポイントについて詳しく解説します。
涙の「量」と「質」:ドライアイを理解する鍵
涙は、水、油、ムチンという3つの層で構成されています。それぞれの層が適切なバランスで存在することで、目の表面が潤い、健康が保たれています。
- 油層(一番外側): 涙の蒸発を防ぎます。まぶたにあるマイボーム腺から分泌される油分でできています。
- 水層(真ん中): 涙の大部分を占め、目に潤いと栄養を与えます。涙腺から分泌されます。
- ムチン層(一番内側): 涙を目の表面に留まらせる接着剤のような役割を果たします。結膜のゴブレット細胞から分泌されます。
ドライアイは、これらの層のいずれか、または複数が異常をきたすことで発生します。
- 涙液分泌減少型: 涙の水層の量が減ってしまうタイプ。加齢や病気(シェーグレン症候群など)が原因となることが多いです。
- 涙液蒸発亢進型: 涙の油層が不足し、涙がどんどん蒸発してしまうタイプ。現代のドライアイの多くはこのタイプと言われています。
- 混合型: 上記の両方が組み合わさったタイプ。
ドライアイを引き起こす主な原因と日常生活の落とし穴
- VDU(Visual Display Units)症候群(IT眼症): パソコン、スマートフォン、タブレットなどのディスプレイを長時間見続けることによって、目の疲れやドライアイの症状が起こる状態です。
- まばたきの減少: 集中して画面を見ていると、まばたきの回数が普段の1/3~1/4に減少すると言われています。これにより涙が蒸発しやすくなります。
- 目と画面の距離: 近すぎる距離での作業や、画面を見上げる姿勢も目に負担をかけます。
- ブルーライト: 画面から発せられるブルーライトが目に負担をかけるという説もあります。
- エアコン・乾燥した環境: 室内の空調(エアコン、暖房)は空気を乾燥させ、涙の蒸発を促進します。冬場の乾燥した外気も原因となります。
- コンタクトレンズの使用: コンタクトレンズは涙を吸収し、涙の安定性を低下させることがあります。特に、酸素透過性の低いレンズや長時間装用は目に負担をかけます。
- 加齢: 年齢とともに涙の分泌量は減少し、涙の質も変化するため、ドライアイになりやすくなります。
- 生活習慣病・全身の病気: 糖尿病、甲状腺疾患、関節リウマチ、シェーグレン症候群などの全身の病気がドライアイを引き起こすことがあります。
- 薬剤の副作用: 抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、精神安定剤、降圧剤など、一部の薬剤には涙の分泌を抑制する副作用があります。
- 目の病気: 眼瞼炎(マイボーム腺機能不全)、アレルギー性結膜炎、角膜の病気などもドライアイの原因となることがあります。
- ストレス・睡眠不足: ストレスは自律神経のバランスを崩し、涙の分泌に影響を与えることがあります。睡眠不足も目の疲労を増悪させます。
- 喫煙: 喫煙は目の表面に炎症を起こし、涙の質を低下させると言われています。
日常生活でできる対策
- 意識的なまばたき: パソコン作業中も意識的にまばたきを増やしましょう。
- 休憩: 1時間に1回、数分間目を休める「20-20-20ルール」(20分ごとに20秒間、20フィート(約6メートル)先の物を見る)などを取り入れましょう。
- 加湿: 部屋の加湿を心がけましょう。
- コンタクトレンズの見直し: 長時間装用を避け、適切なレンズを選ぶ、眼鏡との併用を検討しましょう。
- 生活習慣の改善: バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレス解消、禁煙などを心がけましょう。
目の乾燥を感じたら、まずはこれらの原因に心当たりがないかチェックし、改善できることから始めてみましょう。症状が続く場合は、眼科専門医の診察を受けることが重要です。当クリニックでは、ドライアイの原因を詳しく調べ、一人ひとりに合った治療法をご提案いたします。