• 2025年7月31日
  • 2025年7月22日

記事10.アルツハイマー型認知症と共に生きる:QOLを高めるためのヒント

アルツハイマー型認知症と診断された時、多くの患者さんやご家族は、絶望感や「もう何もできなくなる」という諦めを感じるかもしれません。しかし、診断は決して終わりではありません。病気の進行を受け入れつつも、残された能力を最大限に活かし、自分らしい生活を続けることで、生活の質(QOL)を高めることは十分に可能です。

患者さんご本人がQOLを高めるためのヒント

  1. 「できること」を続ける: 好きだった趣味、得意だった家事、簡単な運動など、今できることを積極的に続けましょう。小さな成功体験が、自信と意欲につながります。周囲も「できないこと」に目を向けず、「できること」を応援する姿勢が大切です。
  2. 規則正しい生活リズム: 決まった時間に起き、食事を摂り、活動することで、心身の安定を保ちやすくなります。
  3. 社会とのつながりを持つ: 孤立は認知症の進行を早めると言われています。友人との交流、近所付き合い、地域活動への参加など、社会との接点を持ち続けることが大切です。最近では、認知症当事者や家族が集う**「認知症カフェ」**のような場所も増えています。
  4. 意思表示の練習: 自分の気持ちや希望を伝える練習を続けましょう。もし言葉で伝えられなくなっても、表情やジェスチャー、態度で示すことができるよう、周囲も注意深く観察しましょう。
  5. 安全な環境で自立を促す: 転倒のリスクを減らす、物の置き場所を工夫する、分かりやすい表示をするなど、安全に配慮しつつ、できる限りご本人の力で生活できる環境を整えましょう。

ご家族・周囲がQOLを高めるためのヒント

  1. 本人の尊厳を尊重する: 病気だからといって、子供扱いしたり、意見を聞かなかったりしてはいけません。一人の大人として尊重し、意思決定の機会を大切にしましょう。
  2. 小さな変化を喜び、褒める: 何かを成し遂げた時、感謝の気持ちを伝える時など、ポジティブな言動を積極的に認め、褒めることで、ご本人の自己肯定感を高めます。
  3. 一緒に楽しむ時間を作る: 病気になっても、感情は残ります。一緒に散歩する、好きな音楽を聴く、昔の思い出話をするなど、共に楽しい時間を過ごすことで、心のつながりを深めましょう。
  4. 専門サービスを賢く利用する: デイケア、訪問看護、訪問リハビリテーションなど、様々な介護保険サービスがあります。これらを上手に利用することで、患者さんの生活の質を高めるとともに、ご家族の負担も軽減できます。
  5. 情報共有とチームケア: 医師、ケアマネジャー、ヘルパーなど、関係者全員で患者さんの情報を共有し、連携してサポートする「チームケア」を実践しましょう。

アルツハイマー型認知症は、決して孤独な闘いではありません。ご本人とご家族、そして私たち医療・介護の専門家が力を合わせることで、病気と共に充実した日々を過ごし、自分らしい人生を最期まで謳歌できるようサポートしてまいります。どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。

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