• 2025年7月28日
  • 2025年7月22日

記事7.「物忘れ」と「認知症」の違い:年齢のせい?それとも…

「最近、物忘れが増えてきたな」「人の名前がなかなか出てこない」と感じることは、年齢を重ねると誰にでもあることです。しかし、その物忘れが「病気」によるものなのか、単なる「加齢現象」なのか、判断に迷うことがあるでしょう。この違いを正しく理解することは、不必要な不安を解消し、あるいは早期の対応へとつなげるために非常に重要です。

正常な「加齢による物忘れ」

加齢による物忘れは、脳の機能が少しずつ低下することで起こります。これは病気ではなく、誰にでも起こりうる自然な変化です。

  • 体験の一部を忘れる: 例えば、「朝食に何を食べたかは覚えているけれど、おかずのメニューが思い出せない」というように、出来事の全体ではなく、一部を忘れます。
  • ヒントがあれば思い出せる: 「あれ、なんだっけ…」と思っても、少しヒントをもらったり、時間が経ったりすれば思い出すことができます。
  • 日常生活に支障がない: 物忘れがあっても、自分の力で問題なく生活を送ることができます。新しいことを学ぶ意欲や能力が損なわれることはありません。

「認知症」による物忘れ

一方、認知症による物忘れは、病気によって脳の神経細胞が損傷を受け、認知機能が広範囲に障害されることで起こります。

  • 体験全体を忘れる: 例えば、「朝食を食べたこと自体をすっかり忘れてしまう」というように、出来事全体を忘れてしまいます。そのため、「まだご飯を食べていない」と訴え、何度も食事を要求するといった行動が見られることもあります。
  • ヒントがあっても思い出せない: どんなにヒントを与えられても、全く思い出すことができません。
  • 日常生活に支障が出る: 物忘れが原因で、仕事や家事ができなくなったり、道に迷ったりするなど、日常生活に明らかな支障が生じます。時間や場所の感覚が曖昧になったり、性格が変わったりすることもあります。
  • 新しいことが覚えられない: 新しい情報が脳に入ってこなくなるため、覚えることが極めて困難になります。

医師への相談が重要

これらの違いを自分で判断するのは難しい場合が多いです。もし、「自分や家族の物忘れが、単なる加齢によるものとは思えない」「日常生活に困りごとが出てきた」と感じたら、一人で抱え込まずに専門医に相談することが大切です。

早期に適切な診断を受けることで、治療や介護の準備を始めることができ、症状の進行を遅らせたり、ご本人とご家族が安心して過ごせる環境を整えたりする上で非常に有益です。当クリニックでは、患者さんとご家族の不安に寄り添い、適切な診断とサポートを提供いたしますので、お気軽にご相談ください。

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