• 2025年7月10日

2年以上続く「気分が沈む」状態…それ、もしかして「気分変調症」かも?

「なんだか、ずっと気分が晴れない」「何をしていても、心から楽しめない」「いつもやる気が出なくて、体が重い」。もしあなたが、このような状態が2年以上も続いていると感じているなら、それはもしかしたら「気分変調症(持続性抑うつ障害)」かもしれません。うつ病ほど症状は重くないけれど、慢性的に気分が落ち込み、日々の生活に影響が出ている状態を指します。

気分変調症ってどんな病気? 気分変調症は、かつて「神経症性抑うつ」や「慢性うつ病」とも呼ばれていましたが、現在では精神疾患の診断基準(DSM-5)では「持続性抑うつ障害」という名称が使われています。主な特徴は、2年以上にわたって抑うつ気分が続き、その間に比較的軽い症状のうつ状態が繰り返し現れることです。

通常のうつ病(大うつ病性障害)と異なり、激しい気分変動や極端な落ち込みが少ないため、周囲からは「この人の性格だ」と誤解されやすく、本人も「自分の性格だから仕方ない」と諦めてしまうことが少なくありません。しかし、これは心の病気であり、適切な治療とケアによって改善できるものなのです。

主な症状:慢性的な「心の曇り」 気分変調症の症状は、目立たないながらも日常生活にじわじわと影響を及ぼします。

  • 慢性的な抑うつ気分: ほぼ毎日、ほとんど一日中、気分が沈んでいる状態が続きます。朝に特に強く感じることもあれば、一日中続くこともあります。
  • 食欲の変化: 食欲がなくなる、または反対に食べ過ぎてしまうことがあります。
  • 睡眠の問題: 寝つきが悪くなる、途中で目が覚める、朝早く目が覚めてしまう、あるいは寝過ぎてしまうなどの睡眠障害が見られます。
  • エネルギーの低下・疲労感: 常に体がだるく、疲れやすいと感じ、集中力が続かず、物事をこなすのが億劫になります。
  • 自尊心の低下: 自分に自信が持てず、「自分はダメな人間だ」「何をやってもうまくいかない」と感じることが多くなります。
  • 集中力の低下・決断困難: 物事に集中できず、簡単なことでも決断に時間がかかったり、決められなくなったりします。
  • 絶望感・悲観的思考: 未来に対して希望が持てず、常に悪い方向へ考えてしまう傾向があります。

これらの症状は、ご本人が「いつもの自分だから」と片付けてしまったり、周囲も「やる気がないだけ」と誤解したりすることが多いため、診断が遅れるケースも少なくありません。しかし、症状が長期間続くことで、仕事や学業、人間関係など、様々な面に悪影響を及ぼし、生活の質を著しく低下させてしまいます。

もし症状に気づいたら… 「もう2年以上、こんな気分が続いているな」「毎日が灰色で、心から笑えることが少ないな」と感じたら、それは心のSOSかもしれません。決して自己判断せずに、心療内科や精神科などの専門医を受診することが、この慢性的な「心の曇り」から抜け出し、再び明るい日常を取り戻すための第一歩となります。

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