• 2025年7月13日
  • 2025年7月9日

6. ホスピス・緩和ケア病棟とは?〜安らぎの場所でのケア〜

「病院ではなく、穏やかな場所で最期を迎えたい」「家族の負担を減らしたい」。そう考える時、選択肢の一つとして挙げられるのが「ホスピス」や「緩和ケア病棟」です。これらの施設は、痛みや苦しみを和らげ、患者さんらしい最期を支えることを目的とした、特別なケアを提供する場所です。しかし、「ホスピスってどんなところ?」「利用条件は?」と疑問に思う方も多いでしょう。

ホスピス・緩和ケア病棟の役割と目的

ホスピスや緩和ケア病棟は、病気の回復が困難になった患者さんが、身体的・精神的・社会的・スピリチュアルなあらゆる苦痛から解放され、残された時間を可能な限り安らかに、そしてその人らしく過ごせるよう支援する専門施設です。

主な目的:

  • 苦痛の緩和: 痛み、吐き気、息苦しさなどの身体的症状を徹底的にコントロールします。
  • QOL(生活の質)の維持向上: 患者さんの生活リズムや趣味、好きなことを尊重し、生活の質を高めます。
  • 尊厳の尊重: 患者さん自身の意思や価値観を尊重し、最期までその人らしくいられるようサポートします。
  • 家族へのサポート: 患者さんだけでなく、家族の不安や悲しみにも寄り添い、精神的なサポートやグリーフケアを提供します。

入所の条件とケアの内容

ホスピスや緩和ケア病棟への入所には、いくつかの条件があります。

  • 入所の条件:
    • 病気の進行: 基本的には、がんなどの疾患が進行し、積極的な治療(抗がん剤治療や手術など)による治癒が困難であると診断された方が対象です。
    • 身体的・精神的苦痛: 痛みや吐き気、呼吸苦、精神的な不安など、緩和ケアを必要とする症状があること。
    • 患者さん本人の意思: ホスピスや緩和ケア病棟でのケアを患者さん本人が希望していることが重要です。家族の希望だけでなく、ご本人の意思が尊重されます。
    • 余命の目安: 明確な基準はありませんが、多くの場合、余命が数ヶ月から半年程度と見込まれる方が入所を検討します。ただし、これはあくまで目安であり、個々の状況によって異なります。
  • 提供されるケアの内容:
    • 身体的ケア: 徹底した疼痛管理(医療用麻薬など)、呼吸苦や吐き気などの症状コントロール、排泄ケア、清拭、体位変換など。
    • 精神的ケア: 不安や恐怖、抑うつへのカウンセリング、傾聴、精神科医によるサポート。
    • 社会的ケア: 経済的な問題、介護の相談、社会福祉サービスの利用支援など。医療ソーシャルワーカーが中心となります。
    • スピリチュアルケア: 人生の意味、死生観、後悔、赦しといった魂の問いに寄り添い、心の安らぎをサポートします。チャプレン(病院付きの牧師や僧侶など)が配置されている施設もあります。
    • 家族ケア: 面会時間の制限がない、家族の宿泊が可能、看取り後のグリーフケアの提供など。
    • 多職種連携: 医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、心理士、ソーシャルワーカー、チャプレンなど、様々な専門職が連携して患者さんと家族を支えます。

一般病棟との違い

ホスピス・緩和ケア病棟は、一般病棟とは目的が異なります。

  • 一般病棟: 病気の治療や回復を目指す場所。
  • ホスピス・緩和ケア病棟: 病気の治療よりも、苦痛の緩和とQOLの維持向上に重点を置く場所。

ホスピスや緩和ケア病棟は、最期まで人間らしく、尊厳を持って生きるための「安らぎの場所」です。もし、入所を検討されている場合や、詳細を知りたい場合は、どうぞ当院にご相談ください。最適な選択肢を見つけるお手伝いをさせていただきます。

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