- 2025年7月12日
- 2025年7月9日
5. 自宅で過ごすという選択〜在宅終末期医療・看取りの実際〜
「住み慣れた家で最期を迎えたい」「家族みんなに見守られて、穏やかに過ごしたい」。人生の終末期を迎えるにあたり、病院ではなく**「自宅で過ごす」という選択**を希望する方が増えています。しかし、「家で本当に大丈夫なのだろうか?」「家族の負担が大きすぎないか?」といった不安を感じるのも当然です。ここでは、在宅終末期医療と看取りの実際についてご紹介します。
在宅終末期医療とは?
在宅終末期医療とは、医師や看護師、その他専門職が定期的に自宅を訪問し、医療処置やケアを行うことで、患者さんが住み慣れた場所で人生の最終段階を過ごせるように支援するものです。病院と同じレベルの医療は難しい場合もありますが、QOL(生活の質)を重視したきめ細やかなケアが可能です。
在宅医療のメリット・デメリット
メリット:
- 自分らしい生活: 住み慣れた環境で、自分のペースで生活できます。食事や服装、過ごし方など、病院では難しい「自分らしさ」を追求できます。
- 家族との時間: 家族がいつでもそばにいられ、大切な人たちとの絆を深める時間を多く持てます。面会時間の制限もなく、ペットとも一緒に過ごせます。
- 精神的安定: 自宅という安心できる環境は、患者さんの精神的な安定に繋がります。
- 感染リスクの低減: 病院に比べて感染症のリスクが低い環境です。
デメリット:
- 家族の負担: 看護や介護の負担が家族にかかる可能性があります。夜間の対応や、容態急変時の精神的ストレスも考慮が必要です。
- 緊急時の対応: 容態が急変した場合、すぐに病院と同等の医療処置を受けられない場合があります。
- 医療機器の管理: 点滴や酸素吸入器などの医療機器を自宅で管理する必要があります。
- プライバシーの確保: 訪問医療者が出入りするため、一時的にプライバシーが制限されることがあります。
在宅看取りを支える「チーム」
自宅での終末期ケアは、患者さんや家族だけで行うものではありません。様々な専門職が連携し、**「チーム」**として支えます。
- 訪問医(かかりつけ医): 定期的に患者宅を訪問し、診察、処方、症状管理を行います。急変時には往診にも対応します。
- 訪問看護師: 定期的に訪問し、身体ケア(清拭、排泄援助)、医療処置(点滴、褥瘡ケア)、服薬管理、精神的ケア、家族へのアドバイスなどを行います。
- ケアマネジャー: 介護保険サービスの利用計画を作成し、必要なサービス(訪問介護、福祉用具レンタルなど)の手配を行います。
- 訪問介護士: 食事や入浴の介助、清掃など、日常生活のサポートを行います。
- 薬剤師、理学療法士、栄養士など: 必要に応じて専門家が訪問し、サポートを行います。
費用について
在宅医療や介護には費用がかかりますが、医療保険や介護保険が適用されるサービスが多く、自己負担額には上限が設けられています。医療費控除や高額療養費制度なども活用できますので、事前にケアマネジャーや医療ソーシャルワーカーに相談し、確認することが大切です。
自宅での終末期ケアは、患者さん自身の希望を尊重し、家族との絆を深めることができるかけがえのない選択肢です。不安なことや疑問があれば、どうぞ一人で抱え込まず、当院にご相談ください。私たちは、あなたが穏やかに、そして自分らしい最期を自宅で迎えられるよう、全力でサポートさせていただきます。