• 2025年7月9日

2. 「痛み」は我慢しなくていい〜終末期ケアにおける身体的苦痛の緩和〜

「人生の最期だから、痛くても仕方ない」「痛みを我慢するのが、家族への優しさだ」。そんな風に考えて、身体の痛みを我慢していませんか? 終末期ケアにおいて最も大切なことの一つは、身体的な苦痛を徹底的に取り除くことです。痛みやその他のつらい症状を我慢する必要は決してありません。適切なケアによって、穏やかで安らかな時間を過ごすことができます。

終末期の「痛み」はコントロールできる

終末期における痛みは、がんの進行や病気による合併症、あるいは治療の副作用など、様々な原因で生じます。しかし、現代の医療では、そのほとんどの痛みを緩和することが可能です。

  • ペインコントロール(疼痛管理)の重要性: 「ペインコントロール」とは、単に痛みをなくすことだけではありません。患者さんが**「この痛みなら耐えられる」「痛みで生活の質が損なわれない」**と感じられるレベルまで痛みを和らげることを目指します。これにより、食事や睡眠がとれるようになり、大切な人との会話を楽しんだり、穏やかな気持ちで過ごしたりする時間が増えます。
  • 様々な鎮痛方法:
    • 医療用麻薬: 「麻薬」と聞くと抵抗を感じる方もいますが、医療用麻薬は医師の管理のもと、痛みを取り除くために安全かつ効果的に使用されます。依存や乱用の心配はほとんどありません。モルヒネなどの内服薬や貼り薬、注射など、様々な種類があり、患者さんの痛みの状態に合わせて選択されます。
    • 非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs): ロキソニンなど、身近な鎮痛剤も用いられます。
    • 鎮痛補助薬: 神経の痛みなど、特定の種類の痛みに効果的な薬(抗てんかん薬や抗うつ薬の一部など)が使われることもあります。
    • 非薬物療法: 薬だけでなく、温罨法(温める)、冷罨法(冷やす)、マッサージ、アロマセラピー、リラックス法なども、痛みの緩和に役立つことがあります。

痛み以外の身体症状も緩和できる

痛みだけでなく、終末期には他にも様々な身体的苦痛が現れることがあります。これらの症状も、適切なケアで和らげることが可能です。

  • 呼吸苦: 息苦しさは患者さんにとって非常に辛い症状です。酸素吸入、体位調整、鎮静剤の使用などで呼吸を楽にします。
  • 吐き気・嘔吐: 食欲不振や脱水にもつながるため、吐き気止めで症状をコントロールします。
  • 倦怠感: 全身の疲労感やだるさ。活動量を調整し、無理なく過ごせるようサポートします。
  • 不眠: 痛みや不安から眠れない場合、鎮痛や抗不安薬、睡眠導入剤などで対応します。
  • 浮腫(むくみ): 利尿剤やマッサージなどで対応します。

大切なのは「伝えること」

もし、あなたが、あるいはご家族が痛みやつらい症状を感じているなら、遠慮せずに医療従事者に伝えましょう。「我慢している」というサインは、外からは見えにくいものです。症状の強さや、どんな時に悪化するかなど、具体的に伝えることで、より適切なケアを受けることができます。

終末期ケアは、患者さんが最期まで穏やかに、そして自分らしく過ごせるようにすることを目指します。痛みや苦しみから解放され、安らかな時間を送るために、どうぞ当院にご相談ください。私たちは、あなたの身体的苦痛の緩和に全力を尽くします。

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