- 2025年7月4日
- 2025年7月3日
2. 「気のせい」じゃない!身体表現性障害の具体的なサインと症状
「いつも体がだるい」「胃がキリキリするのに異常なしと言われる」「めまいがひどくて動けない…」。身体表現性障害(現:身体症状症)に悩む方は、実に多様な身体の不調を訴えます。これらの症状は、ご本人にとっては非常に現実的で苦痛であり、決して「気のせい」や「大げさ」ではありません。ここでは、身体表現性障害で現れる具体的なサインと、それが日常生活にどのように影響するかを見ていきましょう。
身体表現性障害(身体症状症)の多様な身体症状
身体表現性障害の症状は特定の臓器や部位に限定されず、全身にわたって様々な形で現れることがあります。また、症状の種類や重症度が時間とともに変化することも珍しくありません。
- 痛み:
- 最も頻繁に訴えられる症状の一つです。
- 頭痛、腰痛、関節痛、腹痛、胸痛、筋肉痛など、体のあらゆる部位に慢性的で持続的な痛みが現れます。
- 特定の原因が特定できないにもかかわらず、強い苦痛を伴います。
- 消化器症状:
- 吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、便秘、膨満感、喉のつかえ感(ヒステリー球)など、胃腸の不調が頻繁に現れます。
- 過敏性腸症候群と合併しているケースも多く見られます。
- 神経症状:
- しびれ、麻痺、ふらつき、めまい、失神、けいれん、歩行困難、視力・聴力障害など、神経に関わる症状が現れることがあります。
- これらの症状も、神経学的な検査では異常が見つからないのが特徴です。
- 疲労感・倦怠感:
- 何をしても改善しない慢性的な疲労感や全身のだるさが続くことがあります。
- 十分な睡眠をとっても回復せず、日常生活や仕事に大きな支障をきたします。
- 循環器症状:
- 動悸、息苦しさ、胸の圧迫感、胸の痛みなどを訴えることがあります。
- 心臓の検査では異常がないにもかかわらず、パニック発作のような症状を経験することもあります。
- 皮膚症状:
- かゆみ、じんましん、発疹など、心因性の皮膚症状が現れることもあります。
- 泌尿器・生殖器症状:
- 頻尿、排尿時の痛み、性交痛など、泌尿器や生殖器に関連する不快な症状が出ることもあります。
身体症状に伴う精神症状と日常生活への影響
身体症状に加えて、以下のような精神的な側面や、それによる日常生活への影響も現れます。
- 健康への過度な囚われ:
- 些細な身体の変化にも過敏になり、「何か重大な病気なのではないか」という強い不安や恐怖に常に苛まれます。
- 頻繁に症状について考えたり、インターネットで病気を検索したりすることに多くの時間を費やします。
- 医療機関への頻繁な受診(ドクターショッピング):
- 「どこかに原因があるはずだ」と、複数の医療機関を渡り歩き、様々な検査や治療を求め続けます。
- しかし、明確な診断が得られないため、医療従事者への不信感や不満が募りやすくなります。
- 日常生活への支障:
- 身体症状や健康への不安によって、仕事、学業、家事、社会活動、趣味など、あらゆる側面に支障が生じます。
- 症状のために外出を控えたり、人間関係を避けたりすることで、孤立感を深めることもあります。
- 感情の抑圧と表現の困難:
- 精神的なストレスや感情を言葉で表現することが苦手な場合、それが身体症状として現れることがあります。
- 抑うつ・不安:
- 身体の不調が続くこと、周囲に理解されないことから、抑うつ状態や強い不安感を抱きやすくなります。
これらのサインに心当たりがあり、体の不調があなたの生活を著しく困難にしているなら、それは決して「気のせい」ではありません。身体表現性障害(身体症状症)は、適切なケアで改善が見込める疾患です。どうぞ一人で抱え込まず、当院にご相談ください。私たちはあなたの見えない苦しみに寄り添い、共に解決の道を歩んでいきます。