• 2025年7月11日
  • 2025年7月3日

記事9:うつ病と心の健康:二次障害(不安障害、睡眠障害)との関連と向き合い方

「気分が落ち込んでいるだけでなく、常に漠然とした不安に襲われる」「夜になってもなかなか眠れず、朝は絶望的な気持ちで目が覚める」。うつ病は、そのつらい症状に加えて、不安障害や睡眠障害といった精神疾患を併発するリスクを非常に高めます。これらの二次障害は、うつ病そのものの症状をさらに悪化させ、患者さんの苦痛や生活の質を著しく低下させます。

うつ病が心の健康に与える影響は多岐にわたります。

  • 不安障害の併発:
    • 全般性不安障害: 特定の原因がないにもかかわらず、常に漠然とした不安や心配が続き、集中力の低下、イライラ、不眠、身体の緊張などを引き起こします。うつ病によって心身の回復力が低下しているため、ストレスに対する耐性が低くなり、不安を感じやすくなります。
    • パニック障害: 突然、動悸、息苦しさ、めまい、震えなどの強い身体症状を伴うパニック発作が起こり、死の恐怖を感じます。うつ病で心身が疲弊していると、発作を起こしやすくなることがあります。
    • 社交不安障害: 人前で話すことや、人から評価されることに対して、強い不安や恐怖を感じ、回避行動を取るようになります。うつ病による自己肯定感の低下が、社交不安を悪化させることがあります。
    • 強迫性障害: 執着する考えや、繰り返す行動が、うつ病によって悪化することがあります。
  • 睡眠障害の併発・悪化:
    • 不眠症: うつ病では、寝つきが悪い(入眠困難)、夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)、朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)といった不眠症状が非常に多く見られます。これは、脳の覚醒水準の調整がうまくいかなくなるためです。
    • 過眠症: 一方で、日中に強い眠気を感じたり、寝ても寝足りなかったりする過眠症状が現れることもあります。
    • 睡眠の質の低下: たとえ睡眠時間を確保できても、眠りが浅く、十分な休息が取れない状態になります。
    • 睡眠不足は、脳の機能に悪影響を及ぼし、気分をさらに落ち込ませ、集中力を低下させ、不安感を増強させるため、うつ病の症状を悪化させる悪循環に陥ります。

これらの二次障害は、うつ病の治療をさらに複雑にし、患者さんの心身に大きな負担をかけます。不安感が強いと、社会的な活動が制限され、孤立感を深めることもあります。また、慢性的な睡眠不足は、身体の回復力を奪い、疲労感を増大させます。

心療内科医である当院では、うつ病の患者さんの気分症状だけでなく、不安感や睡眠の質にも細やかに目を向け、これらの二次障害へのケアも非常に重要視しています。患者さんのストレスの状況、睡眠パターン、不安を感じる状況などを詳細に問診し、必要に応じて心理検査も行い、心のケアも提供します。

治療においては、うつ病の薬物療法や精神療法と並行して、当院独自の「サトワタッチケア」が、心身のバランスを整え、心の安定にも大きく貢献します。サトワタッチケアは、自律神経を調整し、深いリラックス効果をもたらすことで、慢性的なストレスや不安、不眠を軽減し、うつ病症状の緩和に繋がります。これにより、心の健康も回復し、より穏やかで安定した精神状態でうつ病と向き合えるようサポートいたします。身体のつらさだけでなく、心のつらさも感じる方は、決して一人で抱え込まず、専門医にご相談ください。

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