• 2025年7月11日
  • 2025年7月3日

記事9:アルコール依存症と心の健康:二次障害(うつ病、不安障害)との関連と向き合い方

「お酒を飲まないと不安でたまらない」「飲酒を止めると、ひどく落ち込んで何も手につかなくなる」「この精神状態では、どうせ断酒なんて無理だ…」。アルコール依存症は、飲酒そのものの問題だけでなく、患者さんの心に深刻な影響を及ぼし、うつ病や不安障害といった精神疾患を併発するリスクを非常に高めます。これらの二次障害は、アルコール依存症の回復を妨げる大きな壁となるだけでなく、患者さんの苦痛や生活の質を著しく低下させます。

アルコール依存症が心の健康に与える影響は多岐にわたります。

  • 離脱症状による精神症状:
    • お酒を止めたり減らしたりした際に、身体的な離脱症状だけでなく、イライラ、不眠、不安、焦燥感、抑うつ気分、幻覚、妄想などの精神症状が現れることがあります。これは、脳がアルコールに依存した状態から正常に戻ろうとする際に起こるもので、非常に苦痛を伴います。
  • 飲酒による脳への直接的な影響:
    • 長期的な飲酒は、脳の神経伝達物質のバランスを乱し、感情のコントロールが困難になったり、記憶力や認知機能が低下したりします。これにより、うつ病や不安障害の発症リスクが高まります。
  • 自己治療としての飲酒:
    • 元々うつ病や不安障害などの精神疾患を抱えており、その症状を和らげるために飲酒に頼ってしまい、結果的にアルコール依存症を併発するケースが多く見られます。飲酒は一時的に気分を紛らわせても、長期的に見れば精神疾患を悪化させます。
  • 飲酒による社会生活の破綻とストレス:
    • 飲酒が原因で、仕事、家庭、人間関係が破綻し、失業、離婚、孤立といった問題が生じます。これらの大きなストレスが、さらなる飲酒や、うつ病・不安障害の発症に繋がります。
  • 自尊心の低下と自己嫌悪:
    • 飲酒をコントロールできない自分、問題を起こしてしまう自分に対して、強い自己嫌悪や自責の念を抱き、自尊心が著しく低下します。これはうつ病の主要な症状の一つです。
  • 睡眠障害:
    • 飲酒による入眠困難や中途覚醒に加え、離脱症状による不眠が重なることで、慢性的な睡眠不足に陥ります。睡眠不足は、気分の落ち込みや不安感を増強させ、精神状態を不安定にさせます。

心療内科医である当院では、アルコール依存症の患者さんの飲酒問題だけでなく、これらの精神的な二次障害へのケアも非常に重要視しています。患者さんの飲酒に至る背景、精神状態、睡眠の質などを詳細に問診し、必要に応じて心理検査も行い、心のケアも提供します。

治療においては、アルコール依存症の専門医療機関での治療(断酒、薬物療法など)と並行して、当院独自の「サトワタッチケア」が、心身のバランスを整え、心の安定にも大きく貢献します。サトワタッチケアは、自律神経を調整し、深いリラックス効果をもたらすことで、慢性的なストレスや不安、不眠を軽減し、うつ病症状の緩和に繋がります。これにより、飲酒欲求の軽減だけでなく、心の健康も回復し、より穏やかで安定した精神状態で断酒を継続できるようサポートいたします。身体のつらさだけでなく、心のつらさも感じる方は、決して一人で抱え込まず、専門医にご相談ください。

銀座レンガ通りクリニック 03-3535-2280 ホームページ