- 2025年7月10日
- 2025年7月3日
記事8:アルコール依存症の平均予後と再発予防のヒント~健やかな毎日を維持するために~
アルコール依存症は慢性疾患であり、完全に「治る」というよりも、**「回復(断酒を継続し、飲酒のない生活を送ること)」**を目指す病気です。回復には個人差がありますが、適切な治療とサポートを受け、継続的な努力を続けることで、多くの人が断酒を継続し、健やかな日常生活を取り戻すことができます。しかし、ストレスや誘惑によって再飲酒してしまうリスクも常に存在するため、再発予防と長期的な健康維持のための継続的なケアが非常に重要です。
再発予防と健やかな毎日を維持するための最も大切なポイントは、「断酒の継続と、ストレス管理、自己肯定感の向上を継続すること」です。
- 断酒の継続と徹底:
- 「たった一杯」が命取り: アルコール依存症の回復においては、「たった一杯」が再飲酒の引き金となり、元の飲酒パターンに戻ってしまうことが非常に多いです。絶対に飲まないという強い決意を毎日新たに持ち続けましょう。
- 飲酒環境からの離脱: 飲酒を誘発する場所(居酒屋など)や人間関係を避ける、家からアルコールを完全に排除するなど、飲酒への誘惑を徹底的に遠ざける工夫を継続しましょう。
- 断酒のメリットの再確認: 健康状態の改善、経済的安定、人間関係の修復、精神的安定など、断酒によって得られたメリットを定期的に振り返り、モチベーションを維持しましょう。
- 継続的な専門治療とサポート:
- 定期的な医療機関の受診: 医師の指示に従い、断酒補助薬の服用やカウンセリングを継続しましょう。症状の安定やストレス対処法の習得に役立ちます。
- 自助グループへの継続的な参加: AA(アルコホーリクス・アノニマス)などの自助グループは、断酒継続の強力な支えとなります。仲間との経験共有や相互支援は、孤立感を解消し、回復への意欲を高めます。
- 家族のサポート: 家族も家族会(AL-ANONなど)に参加し、正しい知識を学び、患者さんの回復を適切にサポートする体制を継続しましょう。
- 徹底したストレス管理:
- ストレスは再飲酒の大きな引き金となります。ストレスの原因を特定し、飲酒以外の健康的なストレス解消法(運動、趣味、瞑想、深呼吸、休息など)を積極的に実践し、継続しましょう。
- アサーション(自己表現)スキルの習得: 自分の気持ちや要求を適切に相手に伝えることで、ストレスを溜め込みにくくなります。
- 十分な睡眠の確保:
- 睡眠不足は心身の疲労を増大させ、ストレス耐性を低下させ、飲酒欲求を高める可能性があります。規則正しい睡眠習慣をつけ、質の良い睡眠を確保しましょう。
- 生活習慣の改善:
- 栄養バランスの取れた食事、適度な運動、規則正しい生活リズムを心がけることで、心身の健康を維持し、回復力を高めましょう。
- 自己肯定感の向上:
- 小さな成功体験を積み重ね、自分を褒める習慣をつけましょう。過去の飲酒による失敗に囚われず、これからの自分に焦点を当て、前向きな気持ちを維持することが大切です。
そして、当院の「サトワタッチケア」は、断酒後のストレスや不安、不眠といった精神的な不安定さを軽減し、自律神経のバランスを整えることに非常に有効です。定期的なケアを続けることで、飲酒欲求の軽減、離脱症状の緩和、心身の安定を促し、再飲酒のリスクを低減します。
アルコール依存症からの回復は、決して簡単な道のりではありませんが、諦めずに、健やかな毎日を維持するために、私たちと一緒に最適なケアを見つけていきましょう。