• 2025年7月5日
  • 2025年7月3日

記事3:アルコール依存症が引き起こす心と身体のSOS~二次障害:身体疾患、精神疾患、社会的問題、そして孤独~

「お酒のせいで体がボロボロなのに止められない」「いつもイライラして家族に当たってしまう」「仕事に行けなくなり、友人との関係も壊れてしまった…」。アルコール依存症は、飲酒そのものの問題だけでなく、患者さんの身体、精神、そして社会生活に深刻な影響を及ぼし、多岐にわたるSOS(二次障害)を引き起こします。そのつらさは、周囲に理解されにくく、「自業自得」と見られがちで、患者さんは孤立感を深めてしまうことも少なくありません。

アルコール依存症が引き起こす主な心身のSOS(二次障害)としては、以下のような点が挙げられます。

  • 身体疾患:
    • 肝臓病: 脂肪肝、アルコール性肝炎、肝硬変など、重篤な肝臓病を引き起こし、命に関わることもあります。
    • 膵臓病: 急性・慢性膵炎を引き起こし、激しい痛みや糖尿病の原因となることがあります。
    • 消化器疾患: 食道炎、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍など。
    • 循環器疾患: 高血圧、不整脈、心筋症など。
    • 脳への影響: 脳萎縮、ウェルニッケ脳症(意識障害、眼球運動障害、運動失調)、コルサコフ症候群(記銘力障害)など、認知機能や記憶力に深刻な影響を与えることがあります。
    • 神経障害: 手足のしびれ、末梢神経障害。
    • 糖尿病: アルコールが血糖値に影響を与え、糖尿病の発症や悪化に繋がります。
    • がん: 食道がん、咽頭がん、肝臓がんなど、様々ながんのリスクを高めます。
  • 精神疾患:
    • 離脱症状: お酒を止めたり減らしたりした際に、手の震え、発汗、吐き気、不眠、イライラ、幻覚、けいれん、アルコール性せん妄(幻覚や見当識障害を伴う意識障害)などが現れます。
    • うつ病・不安障害: 飲酒が原因で気分の落ち込みや不安感が強くなり、これらの精神疾患を併発することが非常に多いです。
    • 睡眠障害: 飲酒による入眠困難や中途覚醒、離脱症状による不眠など。
    • アルコール性幻覚症: 飲酒中や離脱期に幻覚や妄想を体験することがあります。
    • パーソナリティ障害の悪化: 衝動性や感情のコントロールが困難になることがあります。
  • 社会的問題:
    • 仕事・学業への影響: 飲酒による遅刻、欠勤、パフォーマンス低下、失業。
    • 人間関係の悪化: 家族との不和、友人との関係断絶、暴力。
    • 経済的問題: 飲酒にかかる費用、借金、生活破綻。
    • 法的問題: 飲酒運転、飲酒に絡むトラブルによる逮捕。
  • 孤独感と自尊心の低下: 上記の問題が複合的に起こることで、周囲から孤立し、自分を責める気持ちが強くなり、自尊心が著しく低下します。

心療内科クリニックである当院では、アルコール依存症の患者さんの飲酒問題だけでなく、これらの身体的・精神的・社会的なSOSにも細やかに目を向け、多角的なアプローチを重視しています。患者さんの訴えを丁寧に聞き、心と身体のつながりを理解した上で、適切な診断と治療方針をご提案します。一人で抱え込まず、私たちはあなたの悩みに真摯に寄り添い、共に解決策を見つけていきます。

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