- 2025年6月23日
- 2025年6月21日
3:学校に行けない…起立性調節障害が引き起こす心と身体のSOS
「学校に行きたくても身体が動かない」「教室に入ろうとすると、息苦しくなってしまう」「勉強についていけないし、友達と会うのも億劫だ」…。起立性調節障害は、身体的な症状だけでなく、患者さんの心にも大きな影を落とす疾患です。特に、学齢期のお子さんの場合、朝起きられないことで不登校に陥ったり、学業の遅れに悩んだりするケースが少なくありません。周囲からは「怠けている」「やる気がないだけ」と誤解され、精神的な負担がさらに増してしまうこともあります。
このような状況が続くと、心身のバランスがさらに崩れてしまい、不安感、抑うつ気分、イライラ感、集中力の低下、自己肯定感の低下といった精神症状が二次的に現れることがあります。重度になると、うつ病や不安障害を併発することもあり、社会生活への適応が困難になるケースも見られます。患者さん自身も、なぜ自分の身体が思うように動かないのか、なぜこんなに心が不安定なのかと、自分を責めてしまうことがあります。
心療内科クリニックである当院では、起立性調節障害の患者さんを診る際に、身体症状だけでなく、心の状態にも細やかに目を向けます。不登校や引きこもり、精神的な不調は、単なる「心の弱さ」ではなく、身体の不調が引き起こすSOSのサインであると捉えています。私たちは、患者さんの感情の起伏、思考パターン、睡眠の質、対人関係など、あらゆる側面から丁寧に評価し、精神的なサポートも併せて提供します。
起立性調節障害は、適切な治療とサポートによって改善が期待できる病気です。症状が落ち着くまでに時間がかかることもありますが、決して諦めずに治療を続けることが大切です。平均的には、適切な治療を開始することで数ヶ月から数年で症状が改善に向かうことが多いとされています。当院では、心と身体の両面からアプローチし、患者さんが安心して社会生活を送れるよう、全面的にサポートいたします。一人で抱え込まず、私たちにご相談ください。