• 2025年6月13日
  • 2025年6月10日

12.【症例解説】ASD患者さんの孤独感とサトワタッチケアによる信頼関係構築

自閉症スペクトラム障害(ASD)を持つ方々が抱える問題の一つに、深い「孤独感」があります。彼らは、他者とのコミュニケーションの仕方や、感情の共有において困難を感じることが多く、結果として「他者との間に見えない壁がある」と感じてしまうことがあります。この孤独感は、しばしば二次的な精神症状や行動上の問題を引き起こす要因となります。サトワタッチケアは、このASDを持つ方が抱える孤独感に対し、非常に有効なアプローチとなり得ます。言葉によるコミュニケーションが難しい、あるいは負担に感じる方にとって、サトワタッチケアの「触れる」という非言語的なコミュニケーションは、言葉以上に多くの情報を伝えることができます。治療者の温かい手から伝わる安心感は、患者さんの心に深いリラックスをもたらし、これまで頑なに閉ざされていた心の扉を少しずつ開いていくきっかけとなります。サトワタッチケアは、患者さんのペースを尊重し、無理強いすることなく、ただ「そこにいる」という安心感を与えます。この一貫した穏やかなアプローチは、患者さんの内側に、他者への「信頼感」を育みます。信頼は、人間関係の基本であり、ASDを持つ方が社会と繋がりを持つ上で不可欠な要素です。治療者との間に信頼関係が築かれると、患者さんは自己を開放しやすくなり、その結果、心身の緊張が和らぎ、これまで困難だった行動やコミュニケーションが自然にできるようになることもあります。これは、単に症状を和らげるだけでなく、患者さんが社会の中で自分らしく生きるための土台を築くことに繋がるのです。サトワタッチケアは、ASDを持つ方々の心に寄り添い、彼らが本来持つ豊かな内面と、社会との新しい繋がりを育むための、温かく、そして確かな架け橋となるでしょう。

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