- 2025年6月10日
- 2025年6月6日
5. 「また吐いちゃった…」心因性嘔吐と子どもの心のサイン
お子さんが、明らかな身体的な原因がないのに、繰り返し吐き気や嘔吐を訴える場合、それは「心因性嘔吐」という心身症の可能性も考えられます。特に、緊張する場面や嫌な出来事があった後に症状が出やすいのが特徴です。
心因性嘔吐は、学校での人間関係の悩み、受験へのプレッシャー、家庭内のストレスなど、心理的な要因が胃腸の働きに影響を与えることで起こると考えられています。検査をしても胃や腸に異常が見つからないことが多く、そのため周囲から「気のせい」と誤解されてしまうことも少なくありません。しかし、お子さんにとっては非常に苦痛な症状であり、食事をすることへの不安や、外出することへの抵抗感につながることもあります。
症状は、吐き気や実際に嘔吐することですが、吐いた後に比較的すっきりすることが多いのも特徴です。特定の食べ物や状況と結びついていることもあります。
診断は、詳細な問診と、血液検査や胃カメラなどの身体的な検査を行い、器質的な疾患(胃腸の病気など)がないことを確認した上で、心理的な要因が関与していると判断された場合に行われます。
治療は、対症療法として吐き気を抑える薬を使うこともありますが、根本的にはストレスの原因を特定し、それに対処することが重要です。お子さんの話に耳を傾け、学校や家庭でのストレス要因がないか一緒に考えることが大切です。無理に食事をさせず、食べられるものを少量ずつ与えるなど、食事に対するプレッシャーを減らす工夫も有効です。心理的なサポートが必要な場合は、小児心療内科やカウンセリングも検討すると良いでしょう。
心身のストレスを軽減し、自律神経を整え、深い癒しと休息を与えることは、お子さんの身体症状を和らげ、自然治癒力を高めるだけでなく、心と体のバランスを取り戻し、安心して日常生活を送るための大切なアプローチとなります。