- 2025年6月14日
- 2025年6月6日
9:自律神経失調症と心の病気:うつ病・不安障害・パニック障害との関連と向き合い方
「身体の不調だけでなく、どうしようもなく気分が落ち込んだり、強い不安に襲われたりする」「急に息苦しくなって、このまま死んでしまうのではないかと怖くなる」。自律神経失調症の患者さんの中には、うつ病や不安障害、パニック障害といった精神的な病気を併発する方が少なくありません。これは、自律神経の乱れが、脳内の神経伝達物質のバランスに影響を与えるためと考えられています。自律神経失調症による心のつらさは、単なる「気の持ちよう」ではなく、専門的なサポートが必要な場合があります。
自律神経失調症の症状と、これらの精神疾患の症状は非常に似ているため、鑑別が難しいこともあります。
- うつ病: 自律神経失調症による慢性的な疲労感、意欲低下、不眠、食欲不振などが、うつ病の症状と重なることがあります。気分の落ち込みが2週間以上続き、日常生活に支障をきたす場合はうつ病の可能性があります。
- 不安障害: 常に漠然とした不安を感じる全般性不安障害や、特定の状況で強い不安や恐怖を感じる社会不安障害など、自律神経失調症の精神症状と類似しています。
- パニック障害: 突然、動悸、息切れ、めまい、冷や汗、手足のしびれなどの身体症状とともに、死の恐怖やコントロールを失う恐怖を感じる発作(パニック発作)が起こる病気です。自律神経の急激な乱れが関与しています。
心療内科医である当院では、自律神経失調症の患者さんの身体症状だけでなく、心の状態にも細やかに目を向け、両面からアプローチすることを重視しています。まず、詳細な問診と心理検査によって、患者さんの感情の起伏、思考パターン、睡眠の質、ストレスの状況などを総合的に評価し、うつ病や不安障害、パニック障害の兆候がないか慎重に診断します。
治療においては、自律神経失調症の治療と並行して、当院独自の「サトワタッチケア」が、心身のバランスを整え、心の安定にも大きく貢献します。サトワタッチケアは、自律神経を調整し、身体の緊張を解き放つことで、深いリラックス効果をもたらします。これにより、精神的なストレスが軽減され、不安や気分の落ち込みが和らぎ、前向きな気持ちを取り戻しやすくなります。必要に応じて、カウンセリングや**薬物療法(抗うつ薬、抗不安薬など)**も提案し、患者さんが安心して心身ともに回復できるよう、多角的にサポートいたします。身体のつらさだけでなく、心のつらさも感じる方は、決して一人で抱え込まず、専門医にご相談ください。