- 2025年6月12日
- 2025年6月6日
7:ADHDと向き合うあなたへ~家族や周囲の理解とサポートの重要性~
「何度言っても忘れ物をするから、家族に呆れられる」「集中力がないから、仕事でいつも怒られてしまう」「衝動的な発言で、友人を傷つけてしまった…」。ADHDは、その特性が周囲からは「だらしなさ」「わがまま」「努力不足」などと誤解されやすく、周囲に理解されにくい病気の一つです。そのため、患者さん本人にとって生きづらさを感じ、精神的にも大きな負担を抱え、孤立感を深めてしまうことがあります。しかし、ご家族や周囲の方々の理解とサポートは、ADHDの特性との向き合い方と患者さんの心の健康維持に非常に重要な役割を果たします。
まず、最も大切なことは、ADHDが「気のせい」や「性格の問題」「努力不足」ではない、生まれつきの「脳機能の特性」であることを理解することです。これらの困難が本人の意思や努力だけではどうにもならない特性であることを認識し、共感してあげてください。患者さんが「理解されている」と感じることは、自己肯定感の向上と、治療やサポートへのモチベーション維持に繋がります。
次に、日常生活における具体的なサポートです。
- 特性に合わせた環境調整への協力:
- 忘れ物対策: 持ち物の準備を一緒に確認する、見える場所にチェックリストを貼るなどのサポート。
- 集中できる環境作り: 静かな場所を確保する、気が散るものを片付けるなど、集中しやすい環境を整える手助け。
- 時間管理のサポート: スケジュールを一緒に立てる、リマインダーを共有する、締切を一緒に確認するなどのサポート。
- 感情のコントロールへの理解: 衝動的な発言や感情の起伏がある場合でも、頭ごなしに否定せず、まずは本人の気持ちを受け止める姿勢が大切です。落ち着いてから、どうすればよかったか一緒に考える機会を持ちましょう。
- 肯定的で具体的な声かけ: できたことや努力したことを具体的に褒め、成功体験を積み重ねられるよう支援しましょう。例えば、「よく集中できたね」「ToDoリストを使えたね」など。
- 苦手なことを無理強いしない: 苦手なことばかりに注目するのではなく、得意なことや興味のあることを伸ばせるよう、その子の特性や能力を尊重して支援しましょう。
- 情報共有: ADHDに関する正しい知識を家族も一緒に学び、共通認識を持つことで、より効果的なサポートに繋がります。
具体的なサポートとしては、以下のような点が挙げられます。
- 傾聴と共感: 患者さんのつらい気持ちや困りごとを、ただ黙って聞いてあげるだけでも、大きな支えになります。アドバイスよりも、まずは共感を示すことが大切です。
- 専門機関への受診を促す: 困りごとが続く場合や、精神的な不調がある場合は、専門医に相談することを優しく促しましょう。
- 具体的な解決策を一緒に考える: できないことを責めるのではなく、「どうしたらできるかな?」と一緒に解決策を考え、試行錯誤する姿勢が大切です。
ADHDの特性は、適切な理解と周囲のサポートによって、その困難を軽減し、その人の持つユニークな才能や個性を伸ばすことにも繋がります。当院では、患者さんご本人だけでなく、ご家族の皆様からのご相談も歓迎しています。一人で抱え込まず、私たちと一緒に、ADHDとのより良い付き合い方を見つけていきましょう。