- 2025年6月10日
- 2025年6月2日
9,コロナ後遺症Q&A:よくある質問と専門医からの回答
新型コロナウイルス感染症の後、長引く体調不良に悩まされ、「これって本当に治るの?」「どこに相談すればいいの?」といった疑問や不安を抱えている方は少なくありません。**コロナ感染後遺症(Long COVID)**は、比較的新しい病態であるため、情報も錯綜しがちです。ここでは、コロナ後遺症に関して患者さんからよく寄せられる質問と、それに対する専門医からの回答をQ&A形式でご紹介します。
Q1: コロナ後遺症の症状は、いつまで続くのでしょうか?
A1: コロナ後遺症の症状が続く期間には個人差が非常に大きく、一概には言えません。数週間で改善する方もいれば、数ヶ月、あるいは1年以上症状が続く方もいらっしゃいます。しかし、多くの研究で、時間とともに症状が徐々に改善していくことが示されています。焦らず、ご自身のペースで回復に取り組むことが大切です。早期に適切な治療とセルフケアを始めることで、症状の長期化を防ぎ、回復を早めることが期待できます。
Q2: どんな病院を受診すればいいですか?何科に行けばいいですか?
A2: コロナ後遺症は全身に多様な症状が現れるため、何科を受診すべきか迷うことが多いでしょう。まずは、かかりつけ医に相談し、症状を詳しく伝えるのが第一歩です。かかりつけ医が専門外と判断した場合や、より詳しい検査・治療が必要と判断された場合は、症状に応じて呼吸器内科、循環器内科、神経内科、心療内科、リハビリテーション科など、専門の医療機関を紹介されることがあります。近年では、コロナ後遺症に特化した専門外来を設けている医療機関も増えてきています。
Q3: コロナワクチンを接種すると、後遺症の症状は悪化しますか?それとも改善しますか?
A3: コロナワクチン接種とコロナ後遺症の症状については、まだ研究段階であり、明確な結論は出ていません。一部の報告では、ワクチン接種後に症状が改善したケースもあれば、一時的に悪化したケース、あるいは変化がなかったケースも報告されています。個人の体質や症状によって反応は異なるため、ワクチン接種については、かかりつけ医や専門医と十分に相談し、リスクとベネフィットを考慮して判断することが重要です。
Q4: 子どもにもコロナ後遺症は出ますか?症状は大人と同じですか?
A4: はい、子どもにもコロナ後遺症は発症します。大人と同様に、倦怠感、集中力低下(ブレインフォグ)、頭痛、不眠、腹痛などが報告されていますが、大人よりも精神的な症状(不安、抑うつなど)や学業への影響が顕著に出ることもあります。子どもの場合、症状を言葉でうまく伝えられないこともあるため、保護者の方が日頃の様子を注意深く観察し、異変に気づいたら小児科医に相談することが大切です。
Q5: 倦怠感がひどくて何もできません。どうすればいいですか?
A5: コロナ後遺症で最も多い症状の一つが、活動後倦怠感(PEM)を伴うひどい倦怠感です。この場合、無理に体を動かすと症状が悪化する「活動後倦怠感(PEM)」という状態に陥りやすいです。回復の鍵は、「ペース配分(Pacing)」です。疲労困憊になる前に休憩を取り、無理のない範囲で活動と休息のバランスを意識しましょう。活動日誌をつけることで、ご自身の限界を把握しやすくなります。横になる時間を増やす、短い休憩をこまめにとるなど、意識的に体を休ませることが回復につながります。
コロナ後遺症は、見えない症状ゆえに苦しみを理解されにくい病気です。しかし、決して一人で抱え込む必要はありません。正しい知識を持ち、専門家と共に回復への道を歩んでいきましょう。