- 2026年3月10日
- 2026年3月2日
5. 胃の不調が続くのに「異常なし」と言われたら?機能性ディスペプシアの正しい診断プロセス
「胃がもたれるし、いつも胃が張ってつらいのに、病院に行ったら『異常なし』って言われた…」。そんな経験はありませんか?胃カメラでも問題が見つからないのに症状が続く場合、それは機能性ディスペプシア(FD)かもしれません。しかし、診断に至るまでには、いくつかのステップがあります。今回は、機能性ディスペプシアの正しい診断プロセスについて、専門医がどのように判断していくのかを解説します。
診断の第一歩:器質的疾患の除外
機能性ディスペプシアの診断で最も重要なのは、「器質的疾患の除外」です。器質的疾患とは、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、逆流性食道炎など、内視鏡検査や画像検査で目に見える異常が見つかる病気のことです。
- 内視鏡検査(胃カメラ): 機能性ディスペプシアの診断で最も重要な検査です。胃や十二指腸の粘膜の状態を直接確認し、潰瘍や炎症、腫瘍などがないことを確認します。もし、これらの器質的疾患が見つかれば、そちらの病気として治療が進められます。
- 血液検査: 貧血の有無、炎症の有無、肝機能や腎機能などに異常がないかを確認します。
- 腹部エコーやCT検査: 胆石症や膵炎など、胃以外の臓器の病気が原因でないことを確認するために行われることがあります。
これらの検査で明らかな異常が見つからないことが、機能性ディスペプシアと診断するための大前提となります。
診断の次のステップ:ローマ診断基準(IV版)
器質的疾患が除外された上で、機能性ディスペプシアの診断は、国際的に定められた「ローマ診断基準(IV版)」に基づいて行われます。これは、患者さんの症状の種類や持続期間によって診断する基準です。
主な診断基準は以下の通りです。
- 過去3ヶ月間に、以下の症状のうち少なくとも1つが週に1回以上あったこと
- 食後愁訴症候群(PDS)の症状:
- 食後の胃もたれ
- 早期飽満感(少量食べただけですぐお腹がいっぱいになる)
- 上腹部痛症候群(EPS)の症状:
- みぞおちの痛み
- みぞおちの灼熱感
- 食後愁訴症候群(PDS)の症状:
- これらの症状が、少なくとも6ヶ月前から発現していること(診断時以前の期間も含む)
- 胃カメラなどで器質的な異常(潰瘍、がんなど)が見つからないこと
- 他の胃腸疾患(例:胃食道逆流症、過敏性腸症候群など)が原因ではないこと
医師は、患者さんの詳細な問診を通じて、これらの基準に症状が合致するかどうかを慎重に判断します。
なぜ「異常なし」でもつらいのか?
「異常なし」と診断されても症状が続くのは、機能性ディスペプシアが、胃や十二指腸の「機能」の異常、つまり胃の動きの低下や内臓知覚過敏、自律神経の乱れなどが原因で起こる病気だからです。これらの機能の異常は、通常の検査では目に見える形で現れないことが多いのです。
当クリニックでは、患者さんの「異常なし」では片付けられない胃の不調に真摯に向き合います。丁寧な問診と必要な検査を通じて、機能性ディスペプシアの正確な診断を行い、患者さん一人ひとりの症状や背景に合わせた最適な治療計画をご提案いたします。長引く胃の不調でお悩みなら、ぜひ一度ご相談ください。
