- 2026年3月9日
- 2026年3月2日
4. みぞおちの痛み・灼熱感の謎:機能性ディスペプシア(EPS型)の原因と治療
「胃がキリキリ痛むのに、胃カメラでは何もないって言われた」「みぞおちが焼けるように熱くて、食事が怖い…」。そんなみぞおちの不調が続いているのに、原因がわからないと診断されたあなたは、もしかしたら**機能性ディスペプシア(FD)**のもう一つのタイプ、「上腹部痛症候群(EPS:Epigastric Pain Syndrome)」かもしれません。今回は、このEPS型の機能性ディスペプシアの原因と、適切な治療法について詳しく解説します。
上腹部痛症候群(EPS)とは?
上腹部痛症候群(EPS)は、機能性ディスペプシアの主要なタイプの一つで、主にみぞおちのあたりに以下の症状が現れるのが特徴です。
- みぞおちの痛み: みぞおちのあたりが痛む(例:キリキリ、ズキズキ、締め付けられるような痛み)。
- みぞおちの灼熱感: みぞおちが焼けるように熱い、またはヒリヒリする感覚。
これらの症状が慢性的に続き、かつ胃カメラなどの検査で胃や十二指腸に潰瘍や炎症などの明らかな異常が見られない場合に診断されます。食後愁訴症候群(PDS)とは異なり、食事とは関係なく症状が現れることもあります。
EPS型機能性ディスペプシアの主な原因
EPS型の機能性ディスペプシアは、特に胃の「感覚」の異常が深く関わっていると考えられています。
- 内臓知覚過敏:
- 胃の膨らみや胃酸などの刺激に対して、胃の神経が通常よりも非常に敏感に反応してしまう状態です。これにより、わずかな刺激でも痛みや灼熱感を強く感じてしまいます。
- 胃の動き自体は正常でも、知覚過敏が症状を引き起こすことがあります。
- 胃酸の関与:
- 胃酸の分泌量自体が正常でも、内臓知覚過敏があると、胃酸が胃や食道に触れるだけで痛みや灼熱感を引き起こすことがあります。逆流性食道炎と似た症状が出ることもあります。
- ストレス・自律神経の乱れ:
- ストレスは自律神経のバランスを大きく乱し、胃の知覚過敏を悪化させることが知られています。精神的な緊張や不安が症状の引き金となることも少なくありません。
- その他:
- 十二指腸の機能異常や、ピロリ菌感染後の影響なども関連している可能性が指摘されています。
EPS型機能性ディスペプシアの治療
EPS型の症状を和らげるためには、薬物療法が中心となりますが、生活習慣の改善も非常に重要です。
- 胃酸分泌抑制薬:
- プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2ブロッカーなど、胃酸の分泌を抑える薬が処方されます。胃酸の刺激を軽減することで、みぞおちの痛みや灼熱感を和らげる効果が期待できます。
- 内臓知覚過敏改善薬:
- アコチアミド(アコファイド®)などの消化管運動改善薬が、知覚過敏の改善にも役立つことがあります。
- また、一部の抗うつ薬(SSRIなど)が、痛みの神経回路に作用して知覚過敏を和らげる目的で使用されることもあります。
- 生活習慣の改善:
- ストレスマネジメント: ストレスは知覚過敏を悪化させるため、リラックスできる時間を作る、適度な運動をする、十分な睡眠を取るなど、ストレスを溜めない工夫が必要です。
- 刺激物を避ける: 香辛料の多い食事、カフェイン、アルコールなどは胃を刺激し、症状を悪化させる可能性があるため控えましょう。
- 規則正しい食生活: 胃への負担を減らすため、規則正しい時間に食事を摂り、よく噛んでゆっくり食べることを心がけます。
- 食事の工夫:
- 脂っこい食事や胃に負担をかける食品を避けることで、症状の悪化を防ぐことができます。
当クリニックでは、患者さんの胃の不調の原因を丁寧に探り、EPS型の機能性ディスペプシアと診断された場合も、最適な薬物療法と日常生活のアドバイスを組み合わせた治療プランをご提案いたします。つらいみぞおちの痛みや灼熱感にお悩みなら、一人で抱え込まず、ぜひ一度ご相談ください。
