• 2026年1月30日
  • 2026年1月25日

6,アトピー性皮膚炎とアレルギー:食物アレルギーや喘息との関連性

「アトピーの子どもは、卵を食べさせない方がいい?」「アトピーが治ったら、喘息になった」。アトピー性皮膚炎に悩む多くの人が、アレルギーという言葉と関連付けて考えるでしょう。実は、アトピー性皮膚炎は、単なる皮膚の病気ではなく、体の免疫システムが関わるアレルギー疾患の初期症状として現れることが少なくありません。ここでは、アトピー性皮膚炎とアレルギー疾患(食物アレルギー、気管支喘息など)の深い関連性について解説します。


アレルギーマーチとは?アトピー性皮膚炎が示す最初のステップ

アトピー性皮膚炎は、多くの場合、乳児期に発症し、成長とともに食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎といった他のアレルギー疾患を次々と発症していくことがあります。この一連の流れを「アレルギーマーチ」と呼びます。

アレルギーマーチのメカニズムとして、以下のように考えられています。

  1. 皮膚からのアレルゲン侵入: アトピー性皮膚炎の患者さんは、皮膚のバリア機能が低下しているため、皮膚からハウスダスト、ダニ、花粉、そして食物アレルゲンなどが侵入しやすくなっています。
  2. 免疫の感作: 皮膚から侵入したアレルゲンに対して、体がアレルギー反応を起こすための「IgE抗体」が作られ、免疫システムが感作されてしまいます。
  3. 他の臓器でのアレルギー発症: 一度感作されると、次にそのアレルゲンが口から入ったり(食物アレルギー)、鼻や気管から吸い込まれたり(喘息、鼻炎)した際に、体内の他の臓器でもアレルギー反応を引き起こしやすくなります。

このように、アトピー性皮膚炎の皮膚は、単なる皮膚の炎症に留まらず、全身のアレルギー反応を引き起こす「入り口」となる可能性を秘めているのです。


アトピー性皮膚炎と合併しやすいアレルギー疾患

アトピー性皮膚炎の患者さんが、特に合併しやすいとされるアレルギー疾患は以下の通りです。

  1. 食物アレルギー: 特に乳幼児期のアトピー性皮膚炎の患者さんでは、卵、牛乳、小麦、ピーナッツなどの食物アレルギーを合併していることがあります。強いかゆみのある皮膚から食物アレルゲンが侵入することで、アレルギー反応が起こりやすくなると考えられています。ただし、成長とともに耐性が獲得され、食べられるようになることも多いです。
  2. 気管支喘息: 気管支が慢性的に炎症を起こし、発作的に気道が狭くなって呼吸が苦しくなる病気です。アトピー性皮膚炎の患者さんで、特に皮膚症状が重い場合や、家族に喘息の人がいる場合に合併しやすい傾向があります。
  3. アレルギー性鼻炎・結膜炎: ハウスダスト、ダニ、花粉などが原因で、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状が現れる病気です。アトピー性皮膚炎の患者さんは、これらのアレルゲンに対する感受性が高いため、合併しやすいです。

全身的な視点での管理の重要性

アトピー性皮膚炎の治療は、皮膚症状の改善だけでなく、他のアレルギー疾患の発症を予防したり、合併症がある場合にはそれらを適切に管理したりする全身的な視点が非常に重要です。

  • 正しいスキンケア: 皮膚のバリア機能を整えることで、アレルゲンの侵入を防ぎ、アレルギーマーチの進行を抑制する可能性があります。
  • アレルゲン対策: ハウスダストやダニ、花粉など、症状を悪化させる可能性のあるアレルゲンへの暴露を減らす工夫が大切です。
  • 早期発見・早期治療: 他のアレルギー疾患の症状に気づいたら、早めに専門医に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。

当クリニックでは、アトピー性皮膚炎の患者さんに対して、皮膚症状の治療はもちろんのこと、アレルギーマーチの概念を理解した上で、全身的な健康状態を総合的に評価します。必要に応じてアレルギー検査を行い、他のアレルギー疾患との関連性も考慮しながら、最適な治療と生活指導をご提案します。

銀座レンガ通りクリニック 03-3535-2280 ホームページ