- 2025年12月11日
- 2025年12月8日
4. 顎関節症の正しい診断方法:専門医が行う検査とプロセス
「アゴが痛いけど、どこの病院に行けばいいの?」「どんな検査をするんだろう?」顎関節症の症状に悩んでいても、正しい診断を受けるまでのプロセスに不安を感じる方もいるかもしれません。顎関節症の診断は、患者さんの症状を詳しく聞く問診と、顎の状態を直接確認する検査が非常に重要になります。ここでは、専門医がどのように診断を進めるのか、そのプロセスについて解説します。
診断の第一歩は「丁寧な問診」
顎関節症の診断において、最も重要となるのは、患者さんの訴えを詳しく聞く問診です。症状の種類、いつから始まったか、どのような時に症状が強くなるか、生活習慣やストレスの有無など、多岐にわたる情報を丁寧に伺います。
具体的には、以下のような内容を確認します。
- 顎の痛み: どこが、いつ、どのように痛むのか。
- 開口障害: 口がどのくらい開くか、開けにくいのはどんな時か。
- 関節音: どんな音がするのか、いつから音がするのか。
- 関連症状: 頭痛、肩こり、耳鳴りなど、顎以外の症状の有無。
- 生活習慣: 歯ぎしり、食いしばり、頬杖、片側噛みなどの癖の有無。
- 精神的ストレス: 仕事や人間関係など、ストレス要因の有無。
患者さん自身が、自分の症状や生活習慣について詳しく医師に伝えることが、正確な診断への近道となります。
顎の状態を直接確認する「診察と検査」
問診で得られた情報をもとに、顎関節の状態を直接確認する診察と、必要に応じて様々な検査を行います。
- 触診・視診: 顎の関節や周囲の筋肉を触って、痛みや張りがないか、動きに異常がないかを確認します。口の開き具合や、開閉時の顎の動きの左右差なども観察します。
- レントゲン検査: 顎関節の骨の状態や、関節円板の位置関係を大まかに確認するために行われます。骨の変形や関節の隙間の状態などが分かります。
- CT/MRI検査: より詳しく顎関節の状態を調べるために、必要に応じて行われることがあります。
- CT(Computed Tomography): 顎関節の骨の形態や変形を立体的に把握するのに優れています。
- MRI(Magnetic Resonance Imaging): 関節円板や関節包、靭帯など、軟部組織の状態を詳細に評価するのに非常に有効です。関節円板のずれや損傷の有無を確認できます。
- 関節機能検査: 顎の運動範囲を測定したり、顎の動きを記録する装置を使って、顎の運動パターンを評価したりすることもあります。
他の疾患との鑑別も重要
顎関節症と似た症状を示す病気もあります。例えば、虫歯や歯周病、顔面神経痛、耳の病気などが挙げられます。これらの疾患と顎関節症を正確に見分ける「鑑別診断」も、診断プロセスの大切な一部です。
当クリニックでは、患者さんの症状を丁寧に伺い、最新の検査機器も活用しながら、顎関節症の正確な診断を行います。もし「顎が痛い」「口が開かない」といったお悩みがあるなら、一人で抱え込まず、どうぞお気軽にご相談ください。早期に診断を受け、適切な治療を開始することが、症状の改善と快適な日常生活を取り戻すための第一歩です。
