• 2025年8月29日
  • 2025年8月28日

2. なぜ体がねじれる?ジストニアの脳内メカニズムと発症要因

「ジストニアは、脳の病気って聞いたけど、具体的に何が起こっているの?」「特定の動作で症状が悪化するのはなぜ?」。ジストニアは、その見た目の症状から精神的なものと誤解されがちですが、れっきとした脳内の機能異常による運動障害です。この記事では、ジストニアが脳内でどのようにして起こるのか、その複雑なメカニズムを掘り下げるとともに、発症を誘発する要因について解説します。


1. 脳内の司令塔「大脳基底核」の役割

私たちの脳は、意図した動きをスムーズに行うために、複数の神経回路を連携させています。その中心的な役割を担っているのが、「大脳基底核」です。大脳基底核は、手足の運動を調整し、不要な動きに「ブレーキ」をかけることで、運動の正確さを保つ重要な働きをしています。

この大脳基底核は、ドパミンやアセチルコリンなど、複数の神経伝達物質を介して神経細胞とやり取りを行っています。


2. ジストニア発症のメカニズム:ブレーキの故障

ジストニアの根本的な原因は、この大脳基底核の機能異常、特に運動のブレーキ機能がうまく働かなくなることにあると考えられています。

  • 抑制機能の低下: 大脳基底核には、特定の筋肉の動きを抑制する役割があります。ジストニアの患者さんでは、この抑制機能が低下していることが多くの研究で示されています。これにより、運動に必要な筋肉だけでなく、不必要な筋肉にも「収縮しろ」という信号が過剰に送られ、ジストニアのねじれや不随意な動きとして現れます。
  • 感覚情報の処理異常: ジストニアは、特定の動作(例えば字を書く、楽器を演奏する)を行う時だけ症状が出る「タスク特異性ジストニア」が多く見られます。これは、脳が外部からの感覚情報(書く動作の際にペンが指に触れる感覚など)をうまく処理できず、その結果、不必要な筋肉が過剰に反応してしまうためと考えられています。
  • 神経回路の可塑性(かそせい)の異常: 脳は、新しいことを学ぶたびに神経回路を再構築します(可塑性)。しかし、ジストニアの患者さんでは、この可塑性のメカニズムに異常が生じ、特定の動作に関連する神経回路が、不適切な形で過度に強化されてしまうことが示唆されています。これにより、一度不随意な動きが出始めると、その動きが「学習」されてしまい、症状が固定化する原因となります。
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