• 2025年8月9日
  • 2025年8月8日

2,線維筋痛症の症状は痛みだけじゃない!併発しやすい症状と見過ごされがちなサイン

「全身が痛い」――これが線維筋痛症の最も代表的な症状であることは、すでにお話ししました。しかし、線維筋痛症のつらさは、痛みだけに留まるものではありません。多くの患者さんは、日常生活に大きな影響を及ぼす、さまざまな付随症状併発症状に悩まされています。これらの症状は、線維筋痛症の診断をさらに難しくさせたり、痛みそのものよりもつらく感じられたりすることもあります。

ここでは、線維筋痛症でよく見られる、見過ごされがちな症状について解説します。


痛みとともに現れる、多様な症状

線維筋痛症の患者さんに多く見られる、痛み以外の主な症状は以下の通りです。

  • 慢性疲労(倦怠感): どれだけ休んでも取れない、鉛のように重い全身の疲労感は、痛みに次いで多くの患者さんが訴える症状です。朝起き上がることがつらかったり、日中も常に体がだるかったりするため、仕事や家事、趣味など、あらゆる活動に支障が出ます。
  • 睡眠障害: 痛みのために眠れなかったり、眠りが浅く、夜中に何度も目が覚めてしまったりすることがよくあります。眠っても脳が十分に休息できていないため、日中の疲労感や集中力の低下につながります。
  • 頭痛・偏頭痛: 緊張型頭痛や偏頭痛など、さまざまな種類の頭痛を頻繁に経験することがあります。痛みが痛みを呼び、悪循環に陥ることも少なくありません。
  • 認知機能の低下(ブレインフォグ): 「頭に霧がかかったよう」と表現されるように、集中力が続かない、物忘れが多い、言葉が出てこない、思考力が鈍るといった症状が現れることがあります。これは日常生活や仕事において、患者さんを大きく困らせる症状の一つです。
  • 過敏症: 音、光、匂い、温度変化、気圧の変化などに対して、異常に敏感になることがあります。例えば、少しの音でも耳障りに感じたり、わずかな気温変化で体調を崩したりするケースが見られます。
  • 過敏性腸症候群(IBS): 腹痛を伴う下痢や便秘が繰り返される消化器系の症状も、線維筋痛症の患者さんに多く見られます。
  • 手足のしびれ・冷感: 手足の先端にピリピリとしたしびれを感じたり、常に冷たさを感じたりすることもあります。
  • 精神症状: 慢性的な痛みや身体の不調から、うつ病、不安障害、パニック障害などを併発することが非常に多いです。痛みの苦痛に加え、精神的な負担も大きくなります。

これらの症状は、単独で現れることもあれば、いくつもの症状が重なって現れることもあります。そのため、患者さん自身も、どこが原因でどんな症状が出ているのか、判断が難しいと感じることが少なくありません。

もし、全身の痛みだけでなく、上記のような見過ごされがちな症状にも心当たりがある場合は、線維筋痛症の可能性も視野に入れ、専門医への相談を検討してください。痛みに加えて多様な症状があることを伝えることで、より正確な診断と、あなたに合った治療へとつながります。当クリニックでは、全身の症状を総合的に評価し、患者さんのつらい状態に寄り添いながらサポートさせていただきます。

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