- 2025年7月15日
- 2025年7月9日
8. 医師との話し合いを円滑に〜終末期ケアの意思決定プロセス〜
「先生に何を質問すればいいの?」「専門用語が難しくて、何を言われているのか分からない」。人生の終末期における医療の選択は、患者さんご本人にとっても、ご家族にとっても、非常に重要かつデリケートな決断です。医師との話し合いを円滑に進め、納得のいく意思決定を行うためには、いくつかのポイントがあります。
終末期の意思決定プロセスとは?
終末期の意思決定は、単に「延命治療をするかしないか」を決めるだけではありません。患者さんのこれまでの人生や価値観、そして残された時間をどのように過ごしたいかという希望を尊重し、医療・ケアチーム、家族が一体となって話し合い、患者さんにとって最善の選択肢を見つけていくプロセスです。
このプロセスでは、**アドバンス・ケア・プランニング(ACP、人生会議)**の考え方が重要になります。
医師との話し合いを円滑に進めるためのポイント
- 事前に質問や知りたいことをリストアップする:
- 診察室に入ると緊張して、聞きたいことを忘れてしまうことがあります。
- 「何が心配か」「何を知りたいか」を事前にメモに書き出しておきましょう。
- 例:「今の病状はどのような状態ですか?」「今後の見通しは?」「痛みや苦痛はどこまで和らげられますか?」「自宅で過ごすことは可能ですか?」「家族にできることは何ですか?」など。
- 理解できるまで質問する:
- 専門用語が使われたり、説明が難しく感じたりすることもあるでしょう。
- **「もう少し分かりやすく教えてください」「具体的にどういうことですか?」**と遠慮せずに質問しましょう。
- 図やイラスト、簡単な言葉での説明を求めるのも有効です。
- 分かったふりをせず、完全に理解できるまで確認しましょう。
- 家族や信頼できる人に同席してもらう:
- 複数人で話を聞くことで、聞き漏らしを防ぎ、後で情報を共有しやすくなります。
- 患者さんが自分の意思をうまく伝えられない場合、家族がその気持ちを代弁することもできます。
- 可能であれば、患者さんとご家族の価値観や希望をよく理解している人に同席してもらうと良いでしょう。
- 自分の価値観や希望を明確に伝える:
- 「どのような状態になりたくないか」「どのようなことを大切にしたいか」「誰と一緒に過ごしたいか」「どこで最期を迎えたいか」など、漠然とした希望でも構いませんので、自分の思いを素直に伝えましょう。
- 「延命治療を希望しない」という意思がある場合は、その旨を明確に伝えます。
- 「今はまだ決められない」という正直な気持ちを伝えることも大切です。
- 多職種連携を意識する:
- 医師だけでなく、看護師、医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャーなど、様々な専門職がチームとして患者さんと家族を支えます。
- それぞれの専門職に質問を投げかけ、必要な情報やサポートを引き出すようにしましょう。医療ソーシャルワーカーは、経済的な問題や介護サービス、転院先の情報提供など、幅広い相談に乗ってくれます。
- 一度で決めようとしない:
- 終末期の意思決定は、一度の話し合いで完結するものではありません。病状の変化や本人の気持ちの変化に応じて、何度も繰り返し話し合い、見直していくことが重要です。
- 「また話したいのですが」と、遠慮せずに再度の話し合いを求めましょう。
医師との話し合いは、患者さんの尊厳を守り、安らかな最期を迎えるための重要なステップです。不安や疑問があれば、どうぞ一人で抱え込まず、当院にご相談ください。私たちは、あなたが納得のいく意思決定ができるよう、話し合いのサポートをさせていただきます。