• 2025年7月9日
  • 2025年7月3日

記事7:うつ病と向き合うあなたへ~家族や周囲の理解とサポートの重要性~

「『頑張れ』と言われるけど、頑張れない自分が情けない」「周りの人は私のつらさを分かってくれない」「迷惑をかけているようで、相談できない…」。うつ病は、その病気の性質上、患者さん自身が問題を認めにくいだけでなく、症状が目に見えにくいため、周囲にも誤解されやすく、理解やサポートが得られにくい病気の一つです。そのため、患者さん本人にとって身体的・精神的につらいだけでなく、社会的な孤立を深め、回復への道を閉ざしてしまうことがあります。しかし、ご家族や周囲の方々の理解と適切なサポートは、うつ病からの回復に非常に重要な役割を果たします。

まず、最も大切なことは、うつ病が「気の持ちよう」や「甘え」「怠け」ではなく、れっきとした「病気」であることを理解することです。気分の落ち込みや意欲の低下、体の不調が、本人の意思とは関係なく生じている脳の機能異常であり、病気の症状であることを認識し、共感してあげてください。患者さんが「理解されている」と感じることは、自己肯定感の向上と、治療へのモチベーション維持、精神的な安心感に繋がります。

次に、日常生活における具体的なサポートです。

  • 「頑張れ」と言わない: 患者さんはすでに十分に頑張っています。これ以上頑張ろうとすると、かえって負担を増やし、症状を悪化させる可能性があります。「休んでいいよ」「無理しなくていいよ」「辛いね」など、患者さんを労わる言葉を選びましょう。
  • 休養を促す: 仕事や家事など、無理をせずに休める環境を整える手助けをしましょう。家事の分担や、子どもの世話など、具体的なサポートを申し出ることも有効です。
  • 話を傾聴する: 患者さんのつらい気持ちや、悩み、不安を、ただ黙って聞いてあげるだけでも、大きな支えになります。アドバイスよりも、まずは共感を示すことが大切です。
  • 小さな変化に気づき、肯定的に評価する: 少しでも元気が出た、食事ができた、身だしなみを整えたなど、小さな変化に気づき、「よくできたね」「すごいね」と肯定的に声をかけ、自信を取り戻せるよう支援しましょう。
  • 自殺のサインを見逃さない: 「消えてしまいたい」「迷惑をかけて申し訳ない」などの言葉が出たり、身の回りの整理を始めたりするなどのサインが見られたら、すぐに専門機関に相談しましょう。決して一人にせず、危険なもの(薬、刃物など)を遠ざけるなどの対応も検討しましょう。
  • 適切な医療機関への受診を促す: 痛みが続く場合や、症状が悪化する場合は、専門医に相談することを優しく促しましょう。
  • 正しい知識の習得: うつ病に関する書籍を読んだり、医療機関の開催する家族教室に参加したりして、病気について正しく理解しましょう。
  • 家族自身のケア: うつ病の家族を支えることは、家族自身にも大きな精神的負担がかかります。家族も専門家や自助グループに相談し、自身の心身の健康を保つことが非常に重要です。

うつ病は、適切な治療と周囲の理解によって、回復し、日常生活の質を高めることが可能です。当院では、患者さんご本人だけでなく、ご家族の皆様からのご相談も歓迎しています。一人で抱え込まず、私たちと一緒に、病気とのより良い付き合い方を見つけていきましょう。

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