• 2025年7月9日
  • 2025年7月3日

記事7:アルコール依存症と向き合うあなたへ~家族や周囲の理解とサポートの重要性~

「お酒を飲む私を、誰も理解してくれない」「家族に隠れて飲んでしまう」「『意思が弱い』『だらしがない』と責められるばかりで、相談できない」。アルコール依存症は、その病気の性質上、患者さん自身が問題を認めにくいだけでなく、周囲にも誤解されやすく、理解やサポートが得られにくい病気の一つです。そのため、患者さん本人にとって身体的・精神的につらいだけでなく、社会的な孤立を深め、回復への道を閉ざしてしまうことがあります。しかし、ご家族や周囲の方々の理解と適切なサポートは、アルコール依存症からの回復に非常に重要な役割を果たします。

まず、最も大切なことは、アルコール依存症が「意志の問題」や「性格の問題」ではなく、れっきとした「病気」であることを理解することです。飲酒をコントロールできない状態が、本人の意思とは関係なく生じている脳の機能異常であり、病気の症状であることを認識し、共感してあげてください。患者さんが「理解されている」と感じることは、治療へのモチベーション維持と精神的な安心感に繋がります。

次に、日常生活における具体的なサポートです。

  • 飲酒問題から目を背けない: 問題を曖昧にせず、具体的な飲酒行動やそれによって生じる問題点を客観的に伝える勇気を持ちましょう。ただし、感情的に責めるのではなく、あくまで病気としての問題点を指摘する姿勢が大切です。
  • 共依存からの脱却: 患者さんの飲酒による問題行動を隠したり、尻拭いをしたりする「共依存」の状態に陥らないよう注意が必要です。患者さん自身が問題に直面し、責任を取る機会を奪わないようにしましょう。
  • 専門機関への受診を促す: 患者さん自身が受診に抵抗がある場合でも、諦めずに専門機関への受診を勧め続けましょう。家族会や自助グループにまず家族が参加し、正しい知識を得ることも有効です。
  • 家庭内の飲酒環境の見直し: 患者さんの断酒をサポートするため、家庭内でのアルコールを置かない、飲酒をしないといった環境調整に協力しましょう。
  • 患者さんの回復を信じ、諦めない姿勢: 回復には時間がかかりますし、再飲酒することもあるかもしれません。しかし、患者さんの回復への努力を認め、諦めずに支え続ける姿勢が大切です。

具体的なサポートとしては、以下のような点が挙げられます。

  • 傾聴と共感: 患者さんのつらい気持ちや、飲酒に至る背景にある苦悩を、ただ黙って聞いてあげるだけでも、大きな支えになります。
  • 正しい知識の習得: アルコール依存症に関する書籍を読んだり、家族会(AL-ANONなど)に参加したりして、病気について正しく理解しましょう。
  • 家族自身のケア: アルコール依存症の家族を支えることは、家族自身にも大きな精神的負担がかかります。家族も自助グループに参加したり、カウンセリングを受けたりして、自身の心身の健康を保つことが非常に重要です。
  • 具体的な行動計画を立てる: 患者さんの治療目標や、家族ができるサポートについて、専門家を交えて具体的に話し合い、実行可能な計画を立てましょう。

アルコール依存症は、適切な治療と周囲の理解によって、回復し、日常生活の質を高めることが可能です。当院では、患者さんご本人だけでなく、ご家族の皆様からのご相談も歓迎しています。一人で抱え込まず、私たちと一緒に、病気とのより良い付き合い方を見つけていきましょう。

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